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新川支部

坂井 賢治 会員

坂井 賢治(1993年入会・新川支部

坂井 賢治
有限会社とと屋 代表取締役会長

〒936-0003 富山県滑川市吉浦38-1

TEL: 076-476-6767 / FAX: 076-476-6768

業種: 水産加工(粕漬け・味噌漬け)、小売(土産・ギフト)、焼魚、煮魚、一夜干し、ます寿し

事業承継で大切なこと~繋ぐもの・築くもの~

とと屋は、富山湾で獲れた新鮮で美味しい鮮魚類の加工品をお届けする魚屋です。

最短で漁港から10分で運び込まれ、鮮魚を鮮度が落ちないうちに加工し、最高の加工品に仕上げます。

ご家庭で鮮魚類を「美味しい!」と感じていただくために富山の旬の鮮魚をご用意しております。

事務局が企業訪問してきました

2019年10月25日行われた富山県商工労働部経営支援課主催による事業承継1dayセミナーにて、坂井賢治さん(有限会社とと屋 代表取締役会長/富山同友会副代表理事/政策委員長/新川支部)がお話された「事業承継体験談の紹介」について、記事にまとめました。

最初に

私は福井県出身です。脱サラをして、今の会社を創業し、昨年8月、息子に事業承継をしました。息子と二人で法務局を3回訪問し、自力で手続きを整え、会社を譲ることができました。ですが、まだ株式は全て譲渡したわけではありませんので、あと数年かけて全て息子に譲り、私の役職から代表を取りたいと考えています。
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創業時の思い

以前勤めていた会社では、ずっと営業の仕事に携わっていました。仕事で東京築地によく訪れていたのですが、東京築地の人達に富山の話しをしても、ほとんど富山のことが知られていなかったんです。とても驚くと同時に、「仕事を通じて富山のことを関東圏の人達にもっと知ってもらいたい」と強く思うようになりました。また、「取引先である生協さんの理念にある、化学調味料を使わない食品を作りたい」「魚津の地理を活かして、新鮮な魚を使った商品を作りたい」「寝る時間もなく働いていた前職から、家内ともっと一緒にいたい」という思いで起業しました。
最初、家内と私と、パートさん2名でスタートしました。酒蔵から大吟醸の粕を分けてもらい、粕に少しの味噌を混ぜて魚の粕漬を作り始めました。添加物を使っていないので、健康に対する意識が高い首都圏を中心に営業をし、取引先を増やしていきました。取引先が増えると同時にニーズも多様化し、少しずつ商品数を増やしていきました。現在の主力商品は、ブリ燻などの珍味や煮魚・焼き魚になります。
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承継は時間がかかる

55歳の時に事業承継について考え始め、実際に会社を渡すまでに10年間かかりました。本当は5年前に譲りたかったのですが、色々事情が整わず、このタイミングになりました。

後継者には悩みませんでした。なぜかというと、息子が小学校4年の時「親父のあとを継ぎたい」と作文に書いてくれたことを、何も疑うことなく信じきっていたからです(笑)

後継者としての意識を持ってもらうことにも特別苦労したことはありませんが、息子が東京の大学に進学したので、私が仕事で東京に行く度に親子で毎晩飲みに行き、その時、意図的に会社の話ばかりをしていました。こんなことがあった、あんなことがあった、今後どうするか、お前ならどう思うか、そういう話です。

大学を卒業して入社してくれたと同時に、よろず支援拠点さんの協力も得て、経営課題について話し合う時間を頻繁に設けてきました。これを始めてみて気が付いたのは、私が思っている経営課題と、息子が思っている経営課題にズレがあることです。お互いに出し合った経営課題の中から、優先順位を決めて一つずつ乗り越えていきました。
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考え方を伝える

営業には常に息子を同行させました。4年間かけて全国の取引先を全てまわり、特にお世話になっている取引先には20回以上訪問したと思います。取引先をまわる時はあえて車で行きました。これにも理由があって、車内だと道中二人で徹底的に話すことができるからです。どうやってその取引先からお仕事を頂けるようになったか、信頼を頂けているポイントはどこか、これまでのニーズとこれからそのニーズがどう変化していきそうか・・・

なぜ取引先との関係について息子にしつこく伝え続けたかと言うと、当社は取引先に育てて頂いているということを伝えたかったからです。例えば、現在主力商品となっている焼き魚を始めたのも、長野の取引先からご要望頂いたことがきっかけですし、その商品に付加価値をつける機材を導入し、またそこからビジネスに広がりが生まれています。

同友会との関わり~社長になるための修行

息子が入社したと同時に、富山県中小企業家同友会の青年部会に入会させたのですが、同じく「経営指針を創る会」にも勝手に送り込みました(笑)

2012年「第18期経営指針を創る会」受講に当たって、初めて息子から「なぜ社長はこの事業を始めたのか」と聞かれました。冒頭申し上げたように、「富山を知ってもらいたい」「お客様に安全を提供したい」そんなことをたくさん語りました。

この「創る会」というのは9月から2月にかけて半年間かけて受講するのですが、お歳暮商品を扱う当社にとってその時期は超繁忙期。ですが、どれだけ忙しかろうが何だろうが、会社にとって絶対に大事なことだからと最後まで受講してもらいました。

この経験の中で息子にとって一番良かったと思うことは、キャリア、境遇、業種、規模など全く異なる会社経営者の方が、色んな角度からアドバイスを下さったことです。視野が広がると共に、物事を見る視点がまるで変わりました。親子では出来ない部分の話をしてもらえたことには本当に感謝しています。社長になった今も、社員に対して一生懸命経営理念を伝えてくれています。

社長交代後も試練の連続ですが、どんな些細なことも社長に判断を委ねています。会社を渡した今、私が経営に口を挟むことはしませんが、「時代を見る目」については常に社長と話をしています。ですが、やっぱり若い人の方がこれから先を見る力はありますね。頭の回転は若い人にどうしても負けます。私自身最近もの忘れも多いし、話しについていけない時もあるし・・・でも、私も昔はすごかったんですよ(笑)

経営には「待った!」はないので、現社長の方が優れている部分があることに感謝しています。判断する時、常に経営理念に立ち返って考えてくれているので、とても頼りになる社長です。
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よろず支援拠点さんとの関わり~外部環境の変化にいかに対応するか

富山県中小企業家同友会で取り組んでいる「自社の10年ビジョン」を描こうとした時に、10年の前に5年先が見えないとダメだと思い、よろず支援拠点さんに力を貸して頂きました。

例えば、商品の価格設定についてもアドバイス頂きました。これからの物価の上昇、消費税増税、最低賃金上昇など、外部環境の変化に対応して予測しておかないと、10円でも読み違えば大変なことになります。私達の商品は、ボリュームを減らしたり単価を上げると、すぐにはじかれてしまう業界です。5年後10年後は更にデフレが進むことが予測されますので、慎重に判断する必要があります。

喫緊の課題については、衛生管理の見直しです。これからの時代、今より更に厳しくなることが予測されます。10名程でやっている工場だからといっておざなりにしてきた部分もありましたが、これからは完璧を求められます。見直すにはお金も労力もかかることですが、社長を中心に全社一丸となって確実にすすめていきます。

経営課題のすり合わせ

父と息子で似ている部分もありますが、全く違う部分もあります。

息子は大学で品質管理を専攻しており、品質管理にははかなりのこだわりがあります。一方私は営業畑でずっとやってきたため、人間関係づくりが得意です。ですので私は取引先が一件減るということに大変な危機感を感じるのですが、社長は品質管理の観点から取引を終了する企業があっても仕方ないという考えがあって、そこの考え方の違いについてはかなり時間をかけて話をしました。

コストダウンに対する社長の考え方は、最近になって、社長の言う通りかなと思い始めています。 当社の取引先は大手企業が多いため、品物を収めるまでに膨大な書類を求められます。それは自社だけでなく、材料の仕入れ先まで含めた書類になるため、書類作成と管理にはかなりの労力を費やしてきました。ここをもっと合理的に効率化を進められないか、社長の若い力と見識による改革を期待しています。

現状の課題としては、作業の効率化、営業人員の増員、データの整理・仕様書作成・品質管理・衛生管理・店舗やホームページの充実などがあります。また、製造面では生産性と衛生管理のレベルを上げること、それと高齢化による対応力の弱さも感じるため、新規採用などが挙げられます。
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事業承継して感じたこと、感じていること

短期的には事業承継はできません。これは断言します。そして、承継にあたって必ず専門家のアドバイスをもらうことをお勧めします。経営者だけでやろうとすると、一方的な見方しかできないからです。多面的なアドバイスをもらうことで、よりスムーズな承継ができます。

同友会の仲間からは「坂井さん親子は仲が良いよね」とよく言われますが、実はよくケンカするんです。親子間の承継では感情が先に出てしまって、論理的な会話が出来なくなっちゃうんですよね(笑)そこで、専門家に入ってもらうこと、つまり第三者を介入することで、落ち着いて話し合うことができるというメリットがあります。
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不離一体シートについて

最後になりますが、皆さん!やっぱり早く社長を譲った方がいいですよ!どうやったって若い人には勝てませんから。
現在社長36歳、私は66歳です。ついつい66歳の物差しで社長を見てしまっていたのですが、これは大きな間違いだと最近気が付きました。私が30代のころとは世の中全然違いますし、当時失敗したことだって今やれば成功するかもしれない。

同友会には「不離一体シート」というものがあるのですが、これも絶対やった方がいい!これは自社の歴史と売上動向、外部環境を並列に書き記すもので、仲間から教えてもらってすぐに作成しました。これをつくってよかったことは、当社が時代の変化にどうやって対応してきたかを見直すきっかけになったことです。

不離一体シートから読み解ける当社が大切にしてきた普遍的なものに、社長の若い感性を加えて、これからの時代をしなやかに生き抜いていってほしいと思います。

(2019年10月25日 富山県経営支援課主催 事業承継1dayセミナー「事業承継体験談の紹介」より)
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