城北支部
中尾 政彦 会員
中尾 政彦(2015年入会・城北支部)
〒930-0837 富山市上赤江56-11
TEL: 076-471-6417 / FAX: 076-471-6418
業種: 福祉、サービス、小売り
人と人とが顔を合わせて、見守る、支え合う。社会に”おせっかいなサービス”をひろげたい
事務局が企業訪問してきました
晴れ渡る青空の下、城北支部 中尾政彦さん((株)なかひこ 代表取締役社長)のもとへお邪魔しました。
中尾さんは富山同友会には珍しい?誰かに勧められて入会されたのではなく、自ら「入会したい」と門を叩いてくださった方です。
(株)なかひこでは、高齢者専門宅配弁当"宅配クック123"と、放課後等デイサービス"ハッピーテラス"、2つの事業を展開されていますが、
経営者になろうと思ったきっかけ、創業からこれまでのいきさつなどをお聞きしました。
「以前、飲食店に勤めていました。毎日朝4時まで休日無しの働き尽くめ。人間らしい生活とはほど遠く、ましてや家庭サービスなんかできるわけがない毎日を送ってたんですよ。このままじゃダメだと思って、31歳の時に家族を連れて地元に戻りました。それで、どこか働き口を探すか、自分で商売をやってみるか悩んでたときに、高齢者専門宅配弁当チェーン"宅配クック123"に出会って、一念発起、チャレンジすることに決めました。」
<当日お邪魔した時は、ちょうどスタッフの皆さんがお弁当を配達に行っている時間帯でした。"向こう三軒両隣の想い"という、宅配クック123が大切にしている考え方が好きだとおっしゃる中尾さん。私達スタッフは高齢者の方の本当の家族にはなれないけど、一番近くで気遣い合えるお隣さんのようにありたいという思いが込められているそうです。>
「最初はアルバイト1人からスタートし、3年目ぐらいまでは大変だったんですが、まずまずの売り上げを出せてはいました。お客様は施設などの法人ではなく、あくまで個人です。フランチャイズの仕組みが非常によくできていて、高齢で免疫力などが下がっているお客様向けに考えられた献立や、食材は全て冷凍された状態で店まで届くので、新鮮な美味しさと栄養を閉じ込め、かつ衛生的な状態でお客様に届けることができます。この仕組みのおかげで、私達はお客様へのサービス向上に力を注ぐことができます。」
なるほど、高齢者の一人暮らしが増え、「最近は買い物行くのも食事を作るのもおっくうで...」という話をよく耳にするようになりました。宅配クック123では、日に2回、昼と夜とお弁当をとられているお客様もたくさんおられるそうです。たとえご家族の方が近くに住んでいても、お仕事などで、毎日様子を見に行くことが難しいなか、お弁当を届けてくれるスタッフの方が、"お隣さん"のように声を掛けてくれるなんて、ご家族も安心ですね。
「2004年に個人事業主としてこの仕事を始め、売り上げは右肩上がりで2011年に法人化しました。その頃からオーナー会議にも参加できるようになり、たくさんの刺激を受けました。特に、届けて終わりの弁当屋から、一歩踏み出すためにどうすればいいのかという考えに触れ、自分もただの弁当屋で終わりたくないと思うようになり、東京練馬の店舗を引き受けるなど、新しい挑戦をすることを決意しました。常に『このままの状態で本当にいいのか』と自分に問うようになり、そんな流れで出会ったのが同友会です。2015年に入会しました。」
<事務所に掲げられた数々の賞状。売り上げだけをがむしゃらにおっかけるのではなく、お弁当+αのサービスを追及する上で得られた実績です>
「法人化したことで、社保や就業規則など、やらなければならないことが増えました。2016年に同友会の共同求人委員会に参加したことをきっかけに、まずは給与体系を時給から月給制に変え、それと同時に、店長という役職を設け、リーダーの育成を目指しているんですが、こちらはなかなか...。時給の感覚で働く習慣がなかなか抜けないというか、自主的に仕事に取り組む姿勢がどうやったら生まれるか、それが一番の課題です。」
組織づくりがこれからの課題なんですね。もうひとつの事業、ハッピーテラスについてはいかがですか?
「発達障害などの課題を抱えるお子さんの成長と自立を支えるハッピーテラスは、実は東京同友会の例会に参加した時に出会った方から紹介されて始めました。同友会に障害者問題部会があることを知って、実際に障害者雇用をしている仲間の話しを聞いていると、なんか自分にもできるかもと思ったんですが、うまくいかなかったんです。そんな時に、その東京同友会会員の方が『雇用ではなく、ビジネスとしてサポートするのはどう?』と提案してくださり、2016年にスタートすることになりました。ですが、人を育てる仕事なのに、こちらの事業も社員に協調性・自主性が育たず、定着しないという課題に直面しまして、今も悩んでいます。」
宅配クック123と、ハッピーテラスの社員さん同士、交流はあるのでしょうか?
「現在はそれぞれの事業所で独立しているのですが、ハッピーテラスの子ども達に就労体験として宅配クック123の軽作業をやってもらったりと、これからもっと連携できればと考えています。どちらも人と人との仕事なので、顔を合わせることでできるサービスを模索していきたいですね。」
今後の展望についてお聞かせください。
「宅配クック123の事業については、先ほども言った通り、仕組みがすでにあるので、プラスアルファのサービスを生み出していく必要があるのですが、これからはケアマネさんとも連携し、IoTなどを積極的に活用しての見守りサービスを強化していきたいです。地域から孤独死を無くし、人生最後まで楽しく生きられる社会づくりを目指したいと思っています。
同友会入会後すぐに受講した第21期経営指針を創る会で、ようやく経営者の仕事がわかり始めてきました。まだまだ入口やと思っていますが。ちょっと前までは、経営に大切なことは変化だと思っていたのですが、今は存続させることだと感じています。経営者の思い一つでなんとでもなると思っていましたが、会社を存続させるためには周りを巻き込んでいく必要があります。
以前は、利益から賞与をいくらだせるか計算していたんですが、この考え方がはなっから間違っていたことを同友会で学びました。"会社として社会に対しこういうことをしていきたいから、みんなで方向性を合わせて、一緒に稼ごうぜ!"という風に会社を変えていきたい。利益というもののとらえ方が根本的に変わったんです。なので賞与についても社員の労働環境や待遇から逆算して計算するようにし、そうなるともしかしたら借金してでも賞与を払うことになるかもしれない、でもそれでいいと思うようになりました。
環境が変われば必ず人は変わると信じています。相手が動いてくれるのを待つ姿勢で、時間とチャンスをつくっていきたいと思っています。」
人と人とが顔を合わせて、見守る、支え合う。それらを中尾さんは"おせっかいなサービス"と表現されています。
同友会もおせっかいな会(笑)とよく言われますが、家庭や職場、学校、地域の人間関係が希薄になってきている昨今、あらためてその大切さを教えていただきました。
訪問日:2018年7月23日(月) 文:事務局 河崎
同友会に入ってよかったこと
先輩経営者のアドバイスをいただきながら前に踏み出す力がついてきた
お弁当屋さんが私の出発点です。平成16年に脱サラ開業以来、生活の安定、借金の返済のためがむしゃらに走ってきました。
有り難いことに、お客様の支持も頂きパートアルバイトさんも増え、法人にできました。ところが、会社になってから社会保険や就業規則など本業以外の業務や悩み事が増え、一人ではどうにも解決できなくなり同友会に参加させていただき勉強しています。悩みは尽きませんが、先輩経営者のアドバイスをいただきながら、前に踏み出す力がついてきたように感じます。
株式会社なかひこは、宅配クック123とハッピーテラスを運営しております。宅配クック123は高齢者専門宅配弁当店として、在宅のお年寄りの食事のサポートを行います。同時に安否確認を行い家族様やケアマネ様と連絡を取り合い地域の見守りにも貢献しております。ハッピーテラスは、放課後等デイサービスという障がい児の福祉施設になります。地元で自分らしく生活できるようサポートしていく会社を目指します。
一人一人が元気に生活することで、地元富山も元気になります。高齢者も障がいを持った方も、誰もが生き生き暮らせる優しい富山にしたいです。