射水支部会員、射水ケーブルネットワーク株式会社 事業部長執行役員 川口昇一さんのもとへお邪魔しました。
カモン新湊ショッピングセンターの目の前、イメージキャラクターのズーミィちゃんが目印の建物です。
川口さんは八嶋合名会社の八嶋祐太郎さんに勧められ、2016年に入会されました。同友会の活動に初めて参加した時、経営者同士がこんなにも本音で悩みや課題を話し合っていることに驚き、まさに目から鱗という感覚だったそうです。
今回は大変お忙しい中、川口さんと一緒に牛塚社長もご同席くださり、会社の成り立ちから事業内容、今後のビジョン、社員教育方針等をお話いただきました。
会社のなりたち
<川口さん>
当社は富山県と新湊市の出資により、第三セクターとして誕生しました。平成6年に開局し、私は開局とほぼ同時期に入社しました。当時はここから1kmぐらい離れた立町という場所に社屋があり、社員6名からのスタートです。
新湊市エリアから、平成12年には大島町、平成14年に小杉町、平成15年に大門町と下村において、それぞれの市町村からケーブルテレビ事業の業務委託をうけ、現在は高岡市牧野地区も含めたエリアでサービスを行っています。
平成17年に社名が現在の名前に変わり、社屋も現在の中央町に移転しました。ちょうど射水市が誕生した同じ年ですね。開局当時はそこまで規模が大きくなるとは思っていなかったんですが、エリアの拡大に合わせてスタッフも増え、前の社屋では手狭になってきたんです。現在はアルバイトを除き33名の社員がおります。
事業内容と、今後のビジョン
<牛塚さん>
県内にケーブルテレビは9局あり、内2局は行政が運営し、残り7社は当社のように第三セクターです。
テレビ・インターネット・電話が当社の3本柱で、現在は放送事業と通信事業がほぼ50%ずつの業績を占めるようになりましたが、ここ3年間だけでも、通信事業の伸び率は非常に高くなっています。私自身、今後テレビの利用率が大幅に伸びる可能性はないという危機感をもっていて、次の事業の柱を模索する必要があるのですが、これから先を考える時最も大切なことは、地域で認められる企業になること、つまり「ビジネスと地域貢献の両立」だと考えています。
3つのVODサービス
<牛塚さん>
民放のテレビ局と違い、地域の祭りや入学式・卒業式など、よりローカルな地域情報を受発信できるという強みがあります。地域情報を発信する際、色んな人から色んな情報が集まってきますが、取材要請にはNOと言わないスタイルです。民放だと視聴率と言いますが、私は接触率という表現をしています。例えば、地域情報は民放番組に比べて後回しにされがちですが、ケーブルテレビは一週間の番組プログラムで必ずもう一度同じ放送をしますので、どこかでまた情報と接触していただくことができます。
また、何回でも見てほしいという思いで、「リクエストちゃんねる」というサービスを始めました。テレビ画面に流れるリクエスト番号を電話やスマホアプリで入力すると、見たい番組を見たい時間にみることができるという内容です。当社の契約世帯数が26,228世帯なのに対し、なんと年間21,000件ものリクエストがあるんです。これは当社独自のサービスで、全国的にも注目されているんですよ。
もうひとつはインターネット上でも見られる「コミチャンVOD」。コミュニティ番組900本を超える動画が無料で見られるサービスです。これら3つのVODサービスで、地域の情報を受発信できることも地域貢献のひとつだと考えています。
地域の応援団に
<牛塚さん>
次に、会社として地域の応援団になりたいと考えています。金銭的な支援だけではなく、地元の人と一緒に汗をかくことを大切にしています。具体的には、社員がそれぞれお祭りの実行委員会や自治会役員、学校のPTAなど、積極的に参画しようという方針です。
また、防災面でも、ケーブルテレビであれば射水市に特化した最新の災害情報を時間関係なく必要なだけ流すことができます。その強みを活かし、IoTなどの技術も活用しながら行政と連携をとっていくことも大切です。
今後のビジョン
<牛塚さん>
ケーブルテレビの普及率は、県全体では約6割、射水市は約7割です。富山県は全国平均に比べて非常に高い普及率となっています。
私達には有線というインフラをもっているという強みがありますが、それを活かしてさらに無線事業にも取り組み初めています。これからは有線と無線両方で地域貢献ができるように取り組んでいきたいと思います。
また、働き方改革については積極的に進めています。当社の男女比率は女性が5割を超えてきており、女性が活躍できる職場づくりには特に力を入れています。社員には積極的に色んな研修を受けてもらい、スキルアップを目指しています。先ほども申し上げた通り、町内会やPTAなどの役員をしている社員もたくさんおりますので、仕事中の中抜けを認めていることも特徴です。積極的に外の世界に出て、学んでもらいたいと考えています。
<川口さん>
新卒で入社した現在入社3年目になる女性社員は、14歳の挑戦で当社にきてくれたことがきっかけで、大学卒業後、入社してくれました。私も小・中学校と放送部に所属していたことがきっかけで、この仕事を志望しました。制作、技術部、営業など、部門間を超えたスムーズな情報共有のため、最近では様々なITツールを活用しています。また、東京オリンピックに向けて今年から4K放送が始まりますが、無線での普及はなかなか難しく、そこで私達は有線の情報量の多さを活かし、いち早く4K画像をご覧いただけるよう取り組んでいきたいと考えています。
会社見学♪♪
お話をお聞ききしたあと、川口さんと一緒に、同社の原点である立町の旧社屋に向かいました!!
現在も番組制作会社さんが一部利用されていたり、大きな発電機が置いてあったりとまだまだ現役の建物です。
「昔ここで猫を5匹飼ってたんです。飼っていいかわりに餌代は給料から天引きだぞ、なんて言われながら(笑)そのうち一匹が事故にあってしまったんですが、今もその猫のお墓が残ってます。」
「こちらにおいてある機械は、今はもう使われていない部分も多いです。よく見ると棚が歯抜けになっているでしょう?」
ここが心臓部ともいえる機械室ですね。細かなスイッチ、複雑な配線、機械音痴の私には何が何だかさっぱりですが、華やかなテレビ業界を裏で支えてきた貫禄だけは感じることができました。
「こちらが発電機です。もし停電になったとしても、5~6時間は持つほどの大型なので、これを入れるときは壁を抜いて配管を通して...という大がかりな工事になってしまいました。昔はバッテリーをいくつか用意して非常時には対応していたのですが、平成16年の大型台風の時海王丸が座礁した事故がありましたよね?あの災害がきっかけで、この大型発電機導入に踏み切りました。」
もういちど中央町の本社に戻り、次は制作室を見学させて頂きました。
こちらが制作部制作課係長の藤井さんです。お仕事中にも関わらず作業の手をとめて、丁寧に編集作業について教えて下さり、藤井さん本当にありがとうございます!
ドローン撮影の映像も見せて頂いたのですが、ドローンをゆっくりと飛行させることで、まるで自分が空を散歩しているかのような感覚になりました。
「ケーブルテレビの場合、スタジオで撮影することは週に1~2回しかなく、ほとんどが現場取材。最近では、新湊の内川沿いにハワイ出身の方がBARをオープンするまでの取り組みを取材しています。」
この風景は「THEテレビ局」ですよね!!真ん中のモニターには新湊大橋の映像が映っていますが、こちらは定点カメラでずっと新湊大橋を眺めることができる番組です。台風などの災害時にも役立ちますね。ちなみに、カメラのワイパーボタンも押させてもらいました(笑)
制作室の隣にあるスタジオでは、調子に乗って座らせて頂きまして...本当に社会見学気分で、川口さんすみません(^^;)
そして最後に、射水市にお住まいの方なら一度は見たことある!?かもしれない、ズーミィちゃんカーとコミチャンカーがあまりに可愛かったので、写真を撮らせていただきました。
地域の情報受発信基地局である、射水ケーブルネットワーク(株)。訪問した帰りに偶然お会いした射水市民の方からお聞きしたのは、「うちの母親ケーブルテレビ大好きで、なんで好きかというと、地元の祭りの映像をいつも流してくれるおかげで自宅のテレビが祭りの特等席になるからって言ってた。」とのこと。牛塚社長がおっしゃる通り、まさに地域の方に愛され、地域に認められる企業なんだということを実感しました。
貴重なお時間、そして貴重な体験、ありがとうございました!
(訪問日:2018年11月7日(水) 文:事務局 河崎)