城北支部
河上 功 会員
河上 功(2015年入会・城北支部)
930-0064 富山県富山市山王町5-29
TEL: 076-421-6177 / FAX: 076-421-6178
業種: ブリヂストンサイクル富山県総代理店、自転車・同部品卸売業
外部環境に影響を受けやすい企業体質からの脱却
事務局が企業訪問してきました
総曲輪の大和デパートのすぐ近くにある河上兄弟商会。同社は明治43年創業という老舗企業です。
ムードメーカーという言葉がぴったりな河上さん。絶妙なタイミングでみんなを笑わせて場を和ませてくださる河上さんですが、今回の会社訪問では業界の命運を背負う経営者の素顔がありました。
河上兄弟商会のあゆみ
創業明治43年で、私の曾祖父が自転車を販売したことが始まりです。当時自転車がまだ非常に珍しかった時代ですね。創業した時は河上商会だったのですが、そのあとを継いだ祖父が兄弟で商売をしていたため社名に兄弟と入れたと聞いています。
祖父は根っからの商売人で少々変わり者だったそうです。河上兄弟商会になったとき、小売から卸売に転向しました。とはいえ、小売としてもまだまだ新参者なのに、始めたばかりの卸売会社には、当時有名メーカーを扱うことができませんでした。
そんな中、まだブリヂストンがまだ誕生して間もなかったため、弊社で扱わせていただけたことが運命の分かれ道、非常に運が良かったんですね。当時はブリヂストン一本でいこう!という思いではなかったそうですが、おかげさまで現在は商売の柱になっています。
自転車を取り巻く環境の移り変わり
ここ20年ぐらいで、近所で10軒ほどあった自転車屋さんもほとんど廃業されてしまいました。自転車屋は儲からない仕事というイメージが出来上がってしまい、後継者がいないことが1番の理由です。
自転車屋さんになるには、ほとんどの人が10代の頃から自転車店に住み込みで働いて、自転車の技術を学ぶという習わしがありました。なぜかというと、昔は自転車の部品はメーカーさんからバラバラに納品され、自転車屋には組み立てと仕上げの技術が求められたんです。最近は7割が組み上がっている状態で届くようになりましたけどね。
弊社では、主に生活用の自転車がメインです。学生さんの通学用自転車やママチャリです。スポーツ用の自転車も扱ってはいますが、近年メーカー側もスポーツ用と一般用の自転車で会社を分ける傾向にあり、卸業としてもそれに合わせて扱う商品を分けざるを得ないようになってきました。
6年ぐらい前に、富山にもスポーツ用自転車のブームがきたのですが、乗る人の数はそんなに増えませんでした。一般用自転車は地域によってよく売れる種類は異なりますが、やはりお客様の数が一定数あるということが強みです。
東京など坂が多い都会ではやはり電動自転車が強いですね。代官山のTSUTAYAには高級ママチャリがずらーっと駐輪してありましたが、なかなか壮観でした(笑)
弊社はブリヂストンの富山県内の総代理店です。外部環境の目まぐるしい変化に耐え、どう生き残っていくかを絶えず模索しています。
時代の流れを受け身の姿勢で眺めているだけじゃダメ
思いやりを持って仕事をすることを大切にしています。小売店さんも高齢化の波で、力仕事が大変になってきている方が増え、そんな時は卸売のサービスを超えて、修理や組み立ても手伝うようになりました。 やはり私たちは小売店さんが元気になってもらわないと成り立たない商売ですしね。
ただ、このまま時代の流れを受け身の姿勢で眺めているだけじゃやっぱりダメだと思って、小売店を盛り上げる仕掛けづくりに挑戦しています。
昨年の2月、同友会の仲間の協力を仰ぎ、地域のお客さんと小売店とをつなぐ「自転車ポータルサイト」を立ち上げました。やり始めてみて、人と人を繋ぐ難しさを感じています。何事も、なかなか自分の想像通りにはいかないもんですね。
まずはお客様に「地元にこんな自転車屋さんがある」と気付いてもらうところからだと思っています。気づいたからといって、実際に足を運んでもらえるわけではないですが、地元の自転車屋さんで購入するメリットを伝えていければと考えています。
例えば、最近大手スーパーでも自転車を売っていますが、そこで買われたお客様がタイヤのスポークが折れたといって、壊れた自転車をスーパーに持ち込まれたそうです。
もちろんスーパーで修理は出来ませんのでホイールごと交換になり、その場合15,000円程かかるのですが、これがもし修理ができる自転車屋さんに頼むと、4,000円ぐらいで修理できるんですよ。自転車は細かいパーツで成り立っているので、細かい部品交換でメンテナンスができる。そういうことも、一般の方にもっと知ってもらいたいです。
外部環境に影響を受けやすい企業体質からの脱却
一般向けの自転車の中でも、弊社の取り扱い商品の中ではダントツ通学用自転車が多いです。ブリヂストンには「学校お墨付き」の商品がたくさんあることが、その商品を扱えるという私たちの強みにもなっています。しかし、急激に進む少子化の影響で、通学用自転車の売り上げも減ってきているため、高齢者向けの商品シェアも広がっています。
メーカーさんの動向や、少子高齢化など、外部環境に良い意味でも悪い意味でも影響を受けやすい企業体質から早く脱却することが課題です。会社として自立することで、守れるものは大きいですからね。そのための一つのきっかけとしても、自転車ポータルサイトを活用し、育てていきたいと考えています。
最近、日本各地で「自転車で地域を盛り上げよう!」という動きが活発です。各自治体が力を入れています。富山にも、"グランフォンド富山"とか、"富山湾岸サイクリング" などが有名ですよね。とはいえ、マラソン大会は1万人から2万人もの参加者が集まりますが、自転車の大会は1500人程度。物販や観光という面ではあんまり儲からないし、その割に距離は長いし、運営が難しいところが大きな課題です(笑)
自社だけががんばっても、大したことはできません。今後の展望としては、弊社と取引を続けてくださっている小売店の皆さんと今まで通りガッチリ手を組みつつ、ポータルサイトを活用して、自転車の魅力をお客様に伝えていくことに力を入れたいと思います。
社員は現在3名おります。家業を継ぐ前、全く別の仕事の会社経営をしていたのですが、色々あって6年前に戻ってきました。自分自身、経営者としてどうか、という段階にはまだまだ至っておらず、とにかく目の前のことでいっぱいいっぱいなところから、早く脱け出したいという思いです。
うちの社員達は非常に優秀で、小売店さんから頼られる存在の方ばかりです。大きな可能性を秘めた人達ばかりなので、みんなの知恵を借りれば、必ず事業を盛り上げていけると信じています。