高岡支部
澤川 幸利 会員
澤川 幸利(2012年入会・高岡支部)
澤川鍛造工業株式会社 代表取締役
<本社>〒939-1112 富山県高岡市戸出春日786 <福田六家工場>〒933-0313 富山県高岡市福田六家168
TEL: <本社>0766-63-1263 <福田六家工場>0766-92-0139 / FAX: <本社>0766-63-2490 <福田六家工場>0766-92-0140
業種: 精密油圧部品の機械加工、超大型ベアリング部品の機械加工、アルミホイールの旋削加工
社員が主役になれる会社を目指して
事務局が企業訪問してきました
高岡支部幹事長を務め、その人柄からベテラン会員からも新入会員からも人望が厚い澤川幸利さん(澤川鍛造工業(株)代表取締役/高岡支部)。
精密油圧部品の機械加工や超大型ベアリング部品、アルミニウム機械加工品の製造などを手掛ける同社は、社員数42名(日本人社員22名、ベトナム人社員8名、派遣社員12名)の会社です。その歴史は長く、創業は明治36年(1903年)で、今年でなんと116年!!を超える、老舗モノづくり企業なんです。
昨年新工場が完成したばかりで、まだまだ慌ただしい状況の中、今回快く工場見学をお引き受け下さった澤川さん。ピカピカの工場にはイキイキと働く社員さん達の姿がありました。
仕事内容と今後の展望
現在売り上げの75%が建設機械部品です。その中でもミニとミディサイズのバックホーに使われる部品を中心に製造しています。建設機械は油圧ポンプで油圧シリンダーや油圧モーターを動かし動力を得るため、弊社で製造している油圧ポンプ部品は建設機械の核と言えるでしょう。
これらの油圧ポンプ部品がなぜ今後も需要の見込みがあるかというと、建設機械は電力のない山間部などで活躍しているからです。電気自動車のように電力だけで動く建設機械は開発はされても、それが100%シェアにはならないだろうという見解を持っています。ですが、やはり建設業は景況の波を大きく受けるため、売り上げはそのままに、割合を減らしていこうとは考えています。今後挑戦したいのはロボット機械部品関係などですね。
昨年完成したこの新工場は、1000坪の敷地に400坪の工場です。社員達が気持ちよく働けるよう通年20度前後の室温を保てるよう壁の断熱材にはこだわりました。1階が工場、2階は休憩室、3階には畳敷の仮眠室があります。
<明るい陽射しが差し込む、ひろーい休憩室>
ベトナム人エンジニア採用への挑戦
私は1999年に入社し、2000年代は売り上げも右肩上がりで、2006年には社員数19名で売り上げ高が4億ほどまできていました。それが2008年のリーマンショックで大幅売上げ減。私が社長に就任したのはちょうどその頃、どん底の際に父親である先代からバトンを渡されました(笑)同友会に入会したのは2012年、信頼する先輩から誘われたことがきっかけでした。
会社を守るため必死に仕事を受注し、徐々に経営状態も回復。2017年にはリーマンショック以前を超える売上高となりました。
2017年ごろから、新しい仕事が来ても断らざるを得ないほど忙しいです。社員からも「社長、仕事とってくるのはいいけど誰が機械動かすんですか!?」と言われてしまい...。と言っても、今はものづくりの仕事を志す若者はどんどん減っているため求人広告を出しても閑古鳥。これではまずいと、海外実習生の受け入れを検討し始めました。しかし、海外実習生はどれだけ技術を覚えてもやはり期間限定で母国へ帰ってしまいます。単なる労働力としてではなく、澤川鍛造工業の技術に惚れ込んで、一緒に仕事をしてくれる人を探したかったんです。
そこで選んだのはベトナム人エンジニア。エンジニア枠だとビザは1年間更新、会社を気にいってくれれば何年でも働いていいため、これしかない!と思いました。
初めての受け入れに奮闘!彼らが教えてくれたこと
早速2018年の1月と4月にベトナムへ行き、ベトナムの大学卒に求人をかけたところ、結果的に8名も採用できました。
初めての受け入れだったため、細かな手続き上のルールがわからず、色々と大変な目にも会いました。最初頼りにしていた人材紹介の方が、実はほとんど知識がない素人さんだと判明したり...。だけど、せっかく日本に来てくれる8名の方に申し訳ないと、彼らの希望に合う住まいを探し、日本での運転許可を取ってもらい、必死で準備を整えました。
ようやく日本の生活をスタートすることができてからも、整えなければならないことが多いです。慣れない雪道を運転させるのは危ないからと、会長や社員の協力を仰ぎ、冬場のみ彼らを送迎したり、使い勝手のいい自転車を一生懸命選び無償貸与したり、周りの経営者からは「そこまでする必要あるのか」と聞かれることもありますが、やっぱり彼らにとっても不安だらけの海外生活。親のような気持ちで、できる限りのことをしてあげたいですね。
これだけ高成長を遂げているベトナムでも、大学卒の成人男性の平均月収が5万円前後ですから、彼らにとって日本で働くことがどれだけの意味があるのか、現在ベトナムのハノイだけで日本語学校が200校を超えていることからも容易に想像できます。
実際に弊社で働き始めてわかったのですが、彼らは日本人が忘れてしまったものを持っていると強く感じます。彼らの挨拶ひとつとっても、彼らの仕事に対する真摯な姿勢が感じられ、逆に私たちが学ぶところは多いですね。彼らに仕事を教える社員達も同じことを言っています。まだまだ言葉の壁はありますが、弊社の社員達は彼らのことも他の新入社員と変わらず可愛がってくれていますよ。
「経営指針を創る会」を受講し、社員が主役になれる会社を目指して
もともと私は生来のエンジニアで、モノづくりが大好きです。だからこそ、社長になっても感覚は工場長のまま...最初から最後まで指示を飛ばす毎日でした。結果、社員達の技術は伸びず、ましてや自主性が育つわけはありませんでした。そこに気がつかせてくれたのが、2015年に受講した、同友会の経営指針を創る会です。
ある先輩会員から、「社長がどんどん外に出んといかんよ!!」といわれ、素直に毎回同友会の全国大会に参加し、社長不在の期間をあえて設けてみると、それまで社長判断に頼り切って自分達で考えようとしなかった社員達が、少しずつみんなで相談し自分たちで決めていくようになっていきました。
そんな社員達の変化を見て気がついたのは、私がなんでも指示してやってきたせいで、社員達には失敗をしない代わりに達成感の無い空虚な仕事ばかりさせてきたんだということです。私は社員達のものづくりの本当の喜びを奪ってきたんだということを痛感しました。
3年ほど前から、大事な取引先との打ち合わせにも、幹部社員に参加してもらい、決断することの責任と喜びを感じてもらう場をつくっています。製造業という仕事は、生産管理に縛られストレスが溜まりやすい仕事です。だからこそ、経営者として彼らの良いところを見つけ、褒めるところはしっかりと褒め、やりがいを持ってもらうためにはどうすればいいか考え続ける必要があります。何よりも「自分で考え自分で行動したこと」を評価してあげることで、社員一人一人がステージに立てる、主役になれる会社づくりをこれからも目指していきたいです。
<社員さんインタビュー>
澤川社長の良きパートナー!S部長
この16年間、ストレスなく働けています。社長にも部下にも遠慮せずなんでも言える空気だからですね(笑)
私は16年前の合同企業説明会に求職者として参加し、冒頭1社づつ会社PRタイムがあったのですが、そこで澤川社長(当時工場長)が事業内容など一切語らず「私はこれから社長になります!今日は私の右腕左腕になってくれる人を探しにきました!!」と叫んだのを今でもよく覚えています。 なんか変わっとるけど面白そうやなと思って会社見学へ行き、それが縁で今日に至ります。
モノづくりへの愛情は随一!旋盤加工に携わるOさん
機械は同じ動作をくりかえすことが得意ですが、それでも必ず不良品(誤差)は発生します。機械任せにすることなく、慎重に注意深く自分の目で製品をチェックできるかどうかが、この作業で一番大切なところです。僕は機械を誰よりも愛しているので、ちょっとした変化も見逃しません。
(訪問日:2019年1月29日(火) 文:事務局 河崎)
県内500社以上、全国45,000社の経営者と一緒に学んでみませんか?