高岡支部
林 昌明 会員
林 昌明(2008年入会・高岡支部)
〒933-0047 富山県高岡市問屋町256
TEL: 0766-22-4487 / FAX: 0766-22-5278
業種: 印刷紙器、貼箱の製造。商業美術印刷並びに印刷データの作成。手提袋の製造。
互いの個性を認め合う、それが会社づくりで一番大切なこと
事務局が企業訪問してきました
高岡支部 林昌明さん(高岡紙器印刷(株)代表取締役)にお話しを伺いました。
支部内ではその誰からも愛されるお人柄から、ムードメーカーとして不動の地位(?)を築いておられます。
林さんは2008年に入会し、2013年には第19期経営指針を創る会を受講され、経営理念に込めた思いやこれからの展望などをお聞きしました。
1954年にお父様が創業し、林さんが2代目として社長就任されたのは1994年。創業から64年となる同社は、最初、洋服の箱づくりから始まったそうです。これから益々物流が盛んになることを見越し、商品を傷つけず低コストで輸送するために必要不可欠な包装技術に北陸でいち早く着手し、創業からしばらくは売り上げも順調に伸びていきました。しかし、林さんが社長に就任した頃にはバブルが崩壊、北陸にもライバル会社が多数現れ、洋服の箱づくりからは撤退することとなりました。
他社とは違うことに特化しなければ...と模索を重ね、現在はデザインもサイズも様々な紙器製品を自社一貫生産できる仕組みにシフトしています。プリント、裁断、折り、貼りまでが一貫して自社で行える体制になるまで、設備投資の問題、人の問題と、数々の問題を乗り越えてきました。
工場内を見学させていただくと、一つ一つの工程毎に大型機械が導入されていて、手回しのハンドルレバーが付いたレトロなものからCADデータと連動する最新技術のものまで様々。今後もっと自動化を進め、人の目による厳しい品質管理を徹底していきたいという林さん。
「パッケージはただ商品を保護するだけでなく、商品イメージを左右する大切なツールです。富山県は昔から医薬品製造が盛んなので、医薬品包装に関する印刷・紙器メーカーはたくさんありますが、それに対し私達がつくっているのはお菓子やお酒などの箱がほとんど。パッケージを通して商品イメージの向上と安心・安全な品質を届けたいと考えています。」
印刷に使用するインクにもこだわり、「お客様の要望に応えることは当たり前。お客様の想像以上の仕上がりを求めてこそ感動が生まれると思います。このご時世どの業界もコストダウンが叫ばれていますが、最低限のコストで最大限の感動を感じて頂くためにできることは全てやる、そんなスタンスです。」
<仕上がりを社員さんが一枚一枚確認し、色見本よりも美しい仕上がりになるよう、細心の注意で色調整をおこなっています>
「経営指針を創る会で作成した経営理念にも掲げたのですが、互いの個性を認め合う、それが会社づくりで一番大切なことだと思っています。現在社員は9名おりますが、いろんなタイプの方がおられます。そもそも完璧な人なんていないですし、それぞれの個性を生かしつつ成長していってもらいたいです。」
見学させて頂いた日がたまたま大掃除の日だったので、社員さん全員とお会いはできませんでしたが、社長のお人柄そのままの、冗談や笑い声が飛び交う明るい職場でした。
「おかげさまで売り上げは40年以上あまり変動していませんが、確実に変わってきているのは取引先です。社会全体をみて、町のお菓子屋さんなどの小売り業がどんどん無くなり、大型の商業施設による大量受注・大量生産型に移行しています。富山県から出て市場を拡げようと思ったこともありますが、そうなると距離がネックになる。そのネックをカバーできるほどの商品付加価値を生み出すことが直近の課題です。冒頭でお話したように一貫生産できることが我が社の強みですので、あまりこちらから営業をすることはないのですが、その分、お客様の要望に対し出来ないと言わない姿勢を心がけています。」
今後の展望について教えてください。
「私は江戸時代から始まったといわれる、日本のお土産の文化が大好きです。旅行に行くと必ずその土地の歴史を調べて『ここの土地にはこういうお土産が似合う』『こんな売り方をすればもっと売れる』というようなことをついつい考えてしまうんです。パッケージの力で商品の魅力・価値を高め、その商品がヒットすることで地域活性化にもつながる、そこが私達の仕事のやりがいであり、これからも挑戦し続けることだと思います。また、社員が直接地域とつながることで、仕事への誇り、自主性が育まれていると思います。社員が製品を納品しに行った先で、よくお菓子などをお土産にもらって帰ってきますが、その時の嬉しそうな顔といったら(笑)お客様に愛され、地域に愛される、そんな人になってほしいなと思います。」
会社の成長=人の成長と位置づけ、個性豊かな社員さん達と共に、日々悩みながらも一歩ずつ前へ進まれている林さん。貴重なお時間をありがとうございました。
訪問日:2018年5月29日(火) 文:事務局 河崎