氷見支部
松木 功太 会員
松木 功太(2017年入会・氷見支部)
「CYCLEようかん」で笑顔を増やす~氷見から世界をめざして
「CYCLEようかん」で笑顔を増やす~氷見から世界をめざして
創業72年の老舗和菓子屋3代目の挑戦
素材へのこだわりと新たな和菓子づくりへの取り組み
地域の和菓子屋としてできることは
経営理念
私たちは、おもてなしを追求し、感動を与え笑顔を増やすお手伝いをします。
私たちは、身の回りの人・もの・自然を充実した財産と考え、共存共栄を目指します。
私たちは、お互いに支えあいながら成長し、人としての喜びを実現できる場を目指します。
事務局が企業訪問してきました
※中同協webサイトの連載「激動をよき友に」に掲載されたものです。(一部追記)
富山県氷見市に店舗を構える松木菓子舗(松木功太代表、富山同友会会員)は、1949年創業で、3代目である現代表の祖父の代から続く和菓子屋です。店内に並べられているお菓子はどれも素材にこだわり、地元の食材を積極的に取り入れ、松木家の畑でとれたカボチャやサツマイモを使用するなど、伝統的な和菓子にとどまらず、洋菓子の要素を加えた新しい和菓子にも挑戦しています。
コロナ禍の中で地域の和菓子屋にできることは
新型コロナウイルス感染拡大により、4月23日の県の休業要請を受け、5月6日まで店舗の臨時休業を決断しました。お菓子は予約販売のみとし、オンラインショップでの注文の受付を継続。パート従業員とは今後のことをしっかりと話し合い、1カ月の休業をお願いしました。売上のメインだった冠婚葬祭での需要は激減し、5月は昨年の7割減と落ち込みました。「お菓子は人と人をつなぐものであり、みんなの笑顔のエネルギーになるお菓子を作りたい」と、松木氏は地域の和菓子屋として何ができるのか考え続けました。
そして、開所したばかりの氷見市ビジネスサポートセンターへ相談に行き、相談を重ねる中で、自転車愛好者が栄養補給のためにようかんを携帯する習慣があることにヒントを得て「CYCLE(サイクル)ようかん」の開発に取り組みます。祖父や父が残したレシピをもとに試作を繰り返し、無添加にこだわり、ミネラル補給のため塩分を通常の2倍に増やし、一口サイズで食べやすいよう工夫しました。パッケージは、世界最高峰の自転車競技大会であるツールドフランスの主要4賞の選手に贈られるジャージをイメージしており、黄色・緑色・赤の水玉・白色の4種類。ゴールを決めて商品開発に取り組んだことで、どのようなリリースが望ましいか常に考え、今までにないスピード感をもって新商品を開発することができました。
氷見市ビジネスサポートセンターとの協働商品第1号として各種メディアでも取り上げられ、富山湾岸サイクリング2021の公式補給食にも認定されるなど、オンラインショップでの通販も含め、すでに団体からの注文も多く受けています。
地域の仲間とともに
富山同友会に入会して一番学んだことは「視野が広がったこと」と松木氏は言います。以前は意識することがなかったが、あらゆるものに誰かが関わっていることに気づかされ、異業種の経営者との交流はこれまでの考え方を変えるきっかけとなりました。また、地域の高校の自転車競技部にようかんの寄付を行うなど、地域の経営者仲間とともに地域に根ざした経営を常に考えています。
氷見から世界へ向けて
冠婚葬祭の需要は今も落ち込んだままで、コロナ前の水準に戻ることは簡単ではありません。また、新商品は打ち出して終わりではなく、これからがスタート。「栄養価の面や片手でスムーズに開けられるようなパッケージへの改良など、バージョンアップの余地はまだまだ残されている」と松木氏は語ります。そこには、どのような形でお客様にお菓子を届けられるか日々模索している松木氏の、よりよいものにしていきたいという強い思いがありました。
2020年8月、コロナ禍の中でもツールドフランスが開催され、地方の小さな大会の再開に向けた大きな希望となりました。目標は氷見からフランスへ、世界の舞台で選手にようかんを食べてもらえるよう、氷見の和菓子屋の挑戦は続きます。
オンラインショップはこちらから→https://matsukikashi.thebase.in/
(訪問日2020年11月25日(水) 文:事務局 澤田)