MEMBERS' VOICES
射水支部
2022年12月18日
2022年7月に新オフィスを設立し、暖かみのある外観と、明るく広々とした相談スペースで出迎えてくださった田仲さん。

「これ、いいでしょ。事務所のみんなで考えて作ったんです。」
と嬉しそうに見せてくださったのは社名入りのかっこいい作業着。
意外と現場に出ることが多いお仕事だそうで、動きやすさはもちろんのこと、スーツよりも断然親しみやすさがあります。

開業されて10年、田仲さんの仕事や社員、地域に対する様々な思いの積み重ねを感じました。
弊社は主に相続や遺言状作成、土地売買に関わる手続き、その他成年後見人なども行っております。
これから特に力を入れていきたいのは、土地の相続に関わるご相談です。
所有者不明の土地問題は、東日本大震災が大きなきっかけとなり広く世の中に認知されるようになりました。
現在は登記手続きの期限もなければ罰則もなく、昔ながらの「家長が亡くなれば長男が家督を継ぐもの」という慣習が成り立たなくなってきた現在は「面倒くさいからほったらかし」というケースが増えてしまっていました。
それがようやく法改正が行われ、令和6年からいよいよ相続登記が義務化されます。家長がお元気なうちから準備をしておくことが大事という意識を持っていただけるよう、私たちも動いております。
私は現在37歳ですので、お客様のお子さん世代、お孫さん世代の代弁者として、
「今からちゃんとしとかんなん」という危機感を持ってもらいたいと考えています。
認知症や精神疾患の方のサポート、成年後見人の仕事も増えてきました。財産管理のイメージが強いと思いますが、実は身の回りのこと全般に関わる仕事です。精神的な支えであると共に、その方の人生に関わる仕事であると思っています。
コロナ禍において逆に、オンライン面談、電子書類化、テレワーク整備に着手できたことはありがたいです。
ですが成年後見人の仕事においてはまだまだオンラインではできない部分が多く、施設や行政側への働きかけも必要だと感じています。
実は後見人は特別な資格がなくてもなることはできます。
想像以上に時間と労力がかかるのですが、なぜ私たちが成年後見人の仕事に誇りを持って取り組んでいるかというと、やはり開業当時からの思いである「人生を幸せに生きたいと願う人たちのお役に立つ」につながるから。
富山県が力を入れているウェルビーイングが示すように、自分らしく幸せに生きられる人生、地域の方がそれを実感していただくために自分たちが役に立てることはないか、そこを考えていくと、後見人の仕事はもとより、信託や相続なども全てそこに付随してくると思います。
同友会の先輩経営者から「田仲君、会社は経営者の器以上に大きくならないんだよ」と教えていただきました。
入会当時は開業して3年。
受託件数は増え忙しくなるのに業績は横ばい状態でした。
離職が続いてしまい、人材育成に力を入れなければと考えていた矢先に開業と同時に入社してくださった方の退職・・・何が問題なんだろうと悩んでいた時期でした。
支部主催の理念塾に参加し、「本当に社員のために経営しているのか?」「あなたは何屋さんなの?」「なんのため、誰のための仕事?」「地域にとって本当に必要な会社?」それまで考えたこともなかった切り口で経営について考え、なんとか理念をつくることができました。
現在社員は3名おり、今年、第2新卒にあたる20代前半の方が1名入社してくれました。
その方とは徹底的に理念について話をしています。
弊社の仕事は多岐に渡り、かつ、お客様の人生に寄り添う仕事です。
ですから組織の中でブレない共通の倫理観が求められます。
理念と照らし合わせて、お客様、周りの社員、地域の人たちの視点に立って考えて行動する姿勢を養う、考え方の根本を共につくっていく、組織づくりにおいてこれが大切なことだと気が付きました。
今後は新卒採用にも計画的に挑戦したいです。
やはり若い方は純粋!
ビジネスマナー的な部分はまだまだなところは当然ありますが、大事だと思ったことは素直に取り入れてやってみる、その姿勢に感動します。
またそんな彼の成長が、私自身に経営者としてのやりがいを感じさせてくれました。
とても良いタイミングで富山県のYouTuberとやまる子さんにお声がけいただき、動画で自社が大切にしていることを伝える機会をいただきました。
また今年初めて14歳の挑戦も受け入れ、
理念の話、"三方良し"の考え方をわかりやすく伝えるのは難しかったですが、最後、お礼の手紙に「三方良しの話を聞いてどう感じたか」を彼らなりの言葉で書いてくれたことがとても嬉しかったです。
士業の仕事を、書類を揃えるだけの仕事と捉えていては、近いうちにAIに淘汰されてしまいます。
より人間の内面的な部分に特化していかないと、このままではいけないという危機感はずっと持っています。
鹿児島の若手司法書士の集まりが子ども食堂を立ち上げました。
そこは子どもからお年寄りまで誰でも集える地域のコミュニティになっており、そういった場で士業の専門家たちが地域の人たちと関わり、虐待やネグレクト、認知症の方の一人暮らしなど、社会的黄色信号である「自分が危険な状況にあることに気がついていない」人たちを早期発見、サポートしているそうです。
このような取り組みを将来的に富山でもできたらという思いがありますが、そのためにも今はまず、しっかりとした組織づくりが必要です。
社員による事業計画の策定、社員研修制度の導入、人事評価制度、新卒採用に挑戦し、理念を軸とした「地域にとって必要とされる会社」を目指していきたいです。

(訪問日:2022年11月21日(月) 文:事務局 河崎)