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全県行事

第26回経営研究フォーラム 全体会・記念講演編

(15/12/14)

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実践!強靱な企業づくりをめざし227名が参加

11月13日(金)サンシップとやまにおいて第26回経営研究フォーラムが開催され、会内外から227名が参加しました。記念講演と5つの分科会の様子を、2回に分けてお知らせします。(写真は竹内正明実行委員長)

記念講演(要旨)

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危機こそ弱みが強みに変わるとき〜問題の中にこそ成長の種がある!〜
報告者:澤浦 彰治 氏 
農業生産法人グリンリーフ㈱ 代表取締役 群馬同友会 代表理事

はじめに

我が社は群馬県の昭和村というところで、昭和三十七年に父が農地を購入して、始めました。私の地域は戦後の開拓で、戦争に負けて食料が足りないということで開拓地ができ、戦争から引き揚げてきた人や都会で職がない人が入植しました。
 ところが昭和三十年代、高度経済成長期に入ってくると皆がどんどん農業を辞めて、都会に出ていき、工業の仕事に就いていきました。ですから、耕作放棄地がたくさん増えました。
結果としてプレイヤーが変わったんです。つまり出ていった人の耕作放棄地を買って、また農業を始めた人が今、この昭和村を支えている大きな力になっているんじゃないかなと思っています。

コンニャク芋の相場暴落

バブル崩壊とほぼ同時にコンニャク芋の相場が暴落しました。それまでは、コンニャクってある意味投機目的でいろんなお金が入ってきてたんです。
ですから、コンニャクの原料が四万円くらいから翌年、一気に十五万円まで上がったんです。その結果コンニャク御殿があちこちに建ち、それまでワゴン車に乗っていた人が、いきなりクラウンに乗り出し、鍬しか積んでなかった車にはゴルフバッグが積まっているという笑い話がたくさんでてきました。
 当時、私のところでは一生懸命コンニャクの種を増やしていたので、最高の出荷量になりました。ところが、みんながいっぱいつくるものだから量が増えて相場が暴落したんです。資材をたくさん買ったのに、肥料代も、借金も払えない。どうしょうもなくなったわけです。それが昭和から平成に切り替わる年でした。

農業で食べていけない!

私は農業がやりたくて農業高校に行き、農業が好きで家業に入ったのに、「なんで農業で食べていけないんだ。一生懸命働いて、食えない農業っておかしいよな?なんでおかしいんだろう?ちょっとまてよ。お店にいけば、車、工業製品、電気製品もみんな定価で売ってるよな?なんで農産物は自分で値段を決められないんだ?」そんな疑問がふつふつと湧いてきました。

手作りこんにゃくの販売

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 コンニャク芋の原料は安いけれども、スーパーでは板コンニャクが普通の値段で売られていました。そうか、板コンニャクにすれば値段が変わらなくなるんだな!そんな発想からコンニャクの加工を始めました。

ところが経営状況が厳しく、コンニャクを作る機械が買えませんでした。お金がないからだめだと諦めかけていた時、うちの母親が家庭用のミキサーでコンニャクを作るのを見て、できるじゃないか!じゃあこれと同じようにやろうと家庭用のミキサーを買ってきて、四角い型も買えないので、手で丸めたものを販売しました。

 せっかくだからこの値段で売れたらいいなと思い、一個百円で売ったんです。それが飛ぶように売れて、一年目で七百五十万円も売れました。二年目は千五百万円。それからどんどん売上があがり五、六年目には七千万円を超えていました。

 時代もよかったんです。ダイエーが価格破壊を一生懸命やっていた時でした。巷のスーパーさんもどんどん値段を安くしていく、そんな時代だったんですけれども、その流れに乗らないスーパーの経営者がいたんです。「商品にはちゃんとした価値があるんだ。その価値をお客さんに伝えていくことが私たち商人の役割なんだ。ナショナルブランドではなく、たしかな商品を作っているそういうメーカーのものを私たちは売るんだ。」たまたまその経営者に一番最初にそのコンニャクを扱ってもらったんです。そしたらそういったスーパーは横のつながりが強く、一気に全国に広まっていきました。

知恵を出して

お金がないってことは決して悪いことではないと思っています。お金がないと知恵がでてくるんです。お金があると世の中にあるものを買ってしまうので、当たり前のことしかできなくて、結局当たり前の物しかできないから価格競争に巻き込まれていくんじゃないかなと思っています。人と違うんだったら徹底して人と違うことをやっていったほうがいいと私は思います。

自社で真空冷却機の開発

きっかけはモスフードさんからのクレームでした。沖縄までレタスを送ってほしいと言われ送ったところ、レタスが全部腐っていたんです。じゃあ腐らせずにレタスを送るにはどうすればいいか、ということで野菜などの温度調整に必要な真空冷却機を導入しようということになりました。
通常メーカーから買うんですが、お金がないからこれを自分でつくりました。メーカーから買うとだいたい四千万円くらい。自分で作ったから一千万円くらいでできました。今でも稼働していまして、約十六年目です。これをつくったところ、モスフードさんが社員研修で、この真空冷却機をつくった経緯を三百名の社員に講義してくれました。

 これがうちのいろんな背景であったり、会社の価値であったりそういったものを上げてくれました。なぜかというと、「お客さんのためになんとかしなくちゃいけない。」というところから作ったものだからです。つまりお客さんが求めることに対して、価格じゃないところでちゃんと応えているという姿勢が評価されたんだと思います。

お客様の要望に応えて

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O‐157がカイワレ大根のせいだということで非常に大きな社会問題になったことがありました。実は数年後にカイワレ大根じゃないという報道がされたんですけれど、今でもカイワレ大根が危ないと勘違いしている人もいます。

 その事件があった翌年、私たちの工場もたくさんのクレームを出しました。この工場、元豚小屋だったんです。お金がなかったから、保健所の許可をとって、なんとかやっていたわけです。けれども、売上が七千万円になってきて、そんなこと言ってはいられなくなりました。取引先の企業からは「この工場でやっていくんだったら来年の取引はありませんよ?」と言われ、なんとかしなきゃいけないということで平成十年、衛生管理ができる工場にしました。

 この工場ができてからお客さんの受けが変わりました。工場ができる前は売上が七千万円だったんですけど二、三年後に売上が二億円を超えたんです。なんで超えたんだろう?お客さんからその理由を聞きました。「農家が作ったものっていい物なんだけど衛生管理が...」というのがほとんどのお客さんの答えでした。でもちゃんとした工場で作ってくれるんだったら、もう堂々と売れるからということでいろんな人が扱ってくれたんです。「世の中が求めていることに答えていくってことはとても大事だな」ということに気がつきました。

O‐157がカイワレ大根のせいだということで非常に大きな社会問題になったことがありました。実は数年後にカイワレ大根じゃないという報道がされたんですけれど、今でもカイワレ大根が危ないと勘違いしている人もいます。
その事件があった翌年、私たちの工場もたくさんのクレームを出しました。この工場、元豚小屋だったんです。お金がなかったから、保健所の許可をとって、なんとかやっていたわけです。けれども、売上が七千万円になってきて、そんなこと言ってはいられなくなりました。取引先の企業からは「この工場でやっていくんだったら来年の取引はありませんよ?」と言われ、なんとかしなきゃいけないということで平成十年、衛生管理ができる工場にしました。

 この工場ができてからお客さんの受けが変わりました。工場ができる前は売上が七千万円だったんですけど二、三年後に売上が二億円を超えたんです。なんで超えたんだろう?お客さんからその理由を聞きました。「農家が作ったものっていい物なんだけど衛生管理が...」というのがほとんどのお客さんの答えでした。でもちゃんとした工場で作ってくれるんだったら、もう堂々と売れるからということでいろんな人が扱ってくれたんです。「世の中が求めていることに答えていくってことはとても大事だな」ということに気がつきました。

経営資源は人

今取り組んでいるのが託児所の建設です。田舎では、世帯所得がどんどん下がってきています。女性も働きにでなきゃいけない、だけども子供が小さければ働けない。そんな状況を目のあたりにしています。また私たちのところで働いている社員さんも子供を出産している人が多く、その人たちをなんとか会社に残したい。一緒にずっと働けるような環境を作りたいということで、託児所を作ろうと考えています。
子供と一緒に出社して、子供と一緒に食事をして、子供と一緒に退社する。親の働く姿を見られる会社にしようと今取り組みをしているところです。農業の役割というのはこういうことかな、と思っています。

 資源循環・エネルギー循環を行って次世代の教育ができる農場にしていきたいと思っています。最後に、これらを行うのは人です。経営資源はヒト・モノ・カネといいますが、結局唯一の経営資源は「人」だということを同友会で学んできました。

記録/吉河裕明(事務局)

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