高岡支部
高岡支部10月例会を開催!報告者は、株式会社 with One
代表の浅井千春会員
高岡支部10月例会は、10月30日(水)高岡市生涯学習センター(ウイングウイング)に於いて46名の参加のもと開催しました。報告者は、株式会社 with One 代表取締役社長 高岡支部東グループ所属の浅井千春会員です。
浅井氏は、広島県出身で、大学卒業後富山市の精神科病院に勤務、精神保健福祉士として、精神科医療の現場で、患者さんの社会復帰支援や、家族のサポート、社会復帰施設の運営など携わってこられました。2013年に退職後、障がい福祉サービスをメインとする株式会社 with Oneを設立、社員数25名のいわゆる就労継続支援A型(雇用型)の事業所を運営されておられます。高岡市の寺院の嫁として嫁がれ、これもご縁あってのことかと思いますが、富山同友会には2016年に入会、経営指針の成文化や障がい者問題部会、高岡支部幹事として精力的に参加、頑張っておられます。
今回のテーマは「同友会での学びと気づき サブ~私が変わる、会社が変わる~」でした。浅井さんは、呉西支部(当時)の理念塾を受講、理念を確立される過程に於いて言われてきたことが、「お客様はだれですか?」という問いかけであったように思います。浅井さんの会社では、障がいを持った方をサポートしたり、指導される福祉職員さんが5名おられます。そして障がいを持った方で就労されておられる一般職員さんを合わせ22名(役員2名除く)の会社です。一部は指導福祉職員さんの引率のもと2~3名一般職員さんを直接企業に派遣、仕事に従事していただくパターンの業務と、会社内で作業を行うパターンはがあり、それぞれ働く障がい者の適性にも併せて対応、就労できる体制になっています。いずれも一般職員さんが働いた賃金は、基本必要経費を差し引き、大部分は本人に還元され、指導スタッフの人件費や会社の運営費用は、国や県など行政機関から支払わられる補助金が当てられ、会社を運営されています。誰でも起業できる会社ではなくこの「精神保健保健福祉士(精神科ソーシャルワーカー)」という資格が大変難しい資格であり、その資格を持っている浅井社長と、他5名の福祉職員(スタッフ)と共に会社運営をされておられます。
支部開催の「理念塾」終了後も更に県の「指針を創る会」も受講され、理念を深めてこられましたが、例会の報告の中でも浅井さんは、「迷いなくお客様は、作業能力のある軽度の障がい者」だと言い切ります。
このタイミングで答えを出そうとするのは、少し早いのかもしれないが、日頃より同友会活動の中にも精力的に参加しておられ、彼女の中でも意識の変化、取組みの変化起こってきたことも併せて報告していただき、同友会での気づきの一端があったことは、大変よかったと思いました。例えば、社名を「AIM」から「with One(ウイズワン)」を主体的に使ってきたこととか、スタッフと呼んでいたの方は「福祉職員」となり、日頃従事されている作業員は「一般職員」と呼称も変化しました。そしてわずかでも一般職員さんの足しになればと「中小企業退職金共済」制度にも加入、業績も少しず上向き、一般職員さんにとっても、地域社会、企業にとってもなくてはならない会社になってきています。
障がいを持った方々の雇用は、法律での義務の部分もありますが、現実問題としてみても大変難しいものがあります。仕事ができるかできないかだけでなく、それぞれの適性や能力合った仕事があるかどうか、それよりも以前に明日来るか来ないかわからない人は、企業側からしてみれば、正規採用には至らないのが多いかと思いますが、人手不足が叫ばれている昨今、「障がいを持った方の雇用」や「リタイヤされた高齢者の方の雇用」を進めることは、日本の労働問題を解決する一端かと思われるのですが、浅井さんのような会社があることで、3名なら3名確実に補填でき、しかも付き添い付きであることから企業側も安心して利用できるメリットがあるのです。
同友会の会員企業の中にも派遣利用されておられる話を伺っていますし、作業の一部を with Oneに外注されるなど、企業連携も展開しておられることも見ていて、これも同友会での活動の成果かと、そして何より例会での報告は、浅井さんの大きな飛躍につながる出来事になったことと思います。グループ討論テーマは、「障がい者雇用問題」ではなく、「皆様は社員にどうなってほしいですか?」でした。いかがだったでしょうか。懇親会は、地元居酒屋「五郎八」の二階で遅くまで賑わっていました。他支部からも多くの応援があり、特に指針同期の方の参加は、当人にとっても大変心強いものがあったのではないでしょうか。
文責 天野 修一
(編集後記)浅井さんの依頼を受けて昨年 株式会社 with Oneの第三者委員会のメンバー3人の中の一員として報告を受けてきました。内容としては、本来トラブルメーカーになりやすい彼ら、彼女らの問題発生事項の記録に対してどのように対処してきたかという内容を、第三者の立場で報告を受け、必要あらばアドバイスするという役割だが、基本年間を通してもさして大きな問題は今のところ起こっていない。創業間もない浅井さんの職場は、高岡市の問屋センター内にある比較的大きな空き店舗に一昨年移転、わずかであるが黒字経営を維持されていることも素晴らしい、頑張りも相当のものだと表に出ないご苦労に敬意を表したいです。同友会は、「障がい者問題部会活動」を行っていて、浅井さんも今年9月に行われた滋賀県での「障がい者問題全国交流会」にも参加、忙しい合間を縫って研鑽にも励んでおられます。
私のところでの出来ることは限られているのですが、今年も7月と9月に支援学校と高等支援学校の生徒さんがそれぞれ職場体験に来て、半日ではあるが仕事を体験をしていかれました。障がい者雇用までできない零細な企業であるが、これも同友会に入っていたからこそのご縁だとなんとか継続しております。
富山同友会にもかつて山下さんという副代表がおられ、障がい者雇用ばかりでなく、同友会の目指す三位一体の経営を実践されて、同友会のカガミではないかと思えるほどの経営を実践されていた方がおられました。そういう方も富山同友会には少なくなりました。是非浅井さんの報告を聞いていただき感想、アドバイスを伺いたいとふと思いました。
創業して間もない「株式会社 with One」が、会社としてようやく形が固まってきた段階でもあるので、初来のビジョンを含めてさらに発展していっていただきたいと思います。「起業理念」が「企業理念」に更に進化することを。浅井さんの今後の活動の中から、自らが答えを導き出していただけるものと期待をしております。(蛇足になりました。)天野 修一