城北支部
田村 彰英 会員
事務局が企業訪問してきました
特殊油圧シリンダの設計・製作・販売をてがける株式会社田村製作所にお伺いしました。
同友会で作成した10年ビジョンが生んだ縁
昭和32年に創業し、会員の田村彰英さんは3代目経営者です。「今年の4月24日にあった同友会の定時総会で、ある金融機関の方に10年ビジョンを語ったら真剣に聞いてくださって、その話早く企画書にして持ってきて!って言ってもらえたんです」と田村さん。田村さんの10年ビジョンには新工場建設や新事業の計画があるそうで、なかなか先行きが見えにくい時代に、新しい挑戦をすると決めた理由とその経緯をお聞きしました。
普段の生活に欠かせないものづくりに貢献
「我が社は油圧シリンダ製作をはじめて50年が経ちます。油圧シリンダはそのほとんどがバックホーのアーム部に見られるような建設機械用ですが、私達はプレス機や振動試験機といった産業機械に使用される特殊な油圧シリンダをつくっています。製鉄所、自動車メーカー、プラスチック製造工場などで用いられています。普段の生活で目にすることはありませんが、普段の生活に欠かせないものづくりに貢献しています。我が社の強みは社内一貫生産にあります。設計から製造(加工・研磨・組立・検査・塗装)まで社内で完結できることで、お客様のニーズにより細やかに対応することができるんです。よかったら工場を見て行ってください。」ということで、お忙しい中、お言葉に甘えて見学させていただきました。
工場見学~5Sに取り組み、社員の意識が少しずつ変化
「現在社員数は27名です。現場ミーティングがかなり多くて、午前中だけで2~3回、午後にももちろん行います。特殊加工ならではの悩み、というか面白味でもあるんですけど、イレギュラーが多いことと、研磨や組み立てなどそれぞれの箇所で工夫を加えていかなければならないので、情報共有が欠かせません。」
4年ほど前から5Sにも取り組み、工場内はすっきりとしていて、社長お手製の整理棚もありました。
5Sに取り組みはじめて、手ごたえはありますか?
「社員の意識の変化は感じています。最初は私ひとりが取り組んでいる状態でしたけど、最近ではもっと作業がしやすくなるためにはどうすればいいか?と考えてくれるようになってきました。特に『ものを丁寧に扱う』という意識から、品質向上につながってきているのではないかと思っています。」
また、加工にかかった時間やどの製品が今どの工程にあるか等を全員で共有するために、会社支給のスマホで生産管理を行っているそうです。
経営指針を創る会を受講して
2014年に第20期経営指針を創る会を受講した田村さん。受講前後での変化は?
「2010年に同友会入会と同時期に戦略的経営塾に参加しました。ある時、塾の先生や仲間から『目的がないと戦略は成り立たない』と言われ、いつも納期を短くするための生産管理など手法ばかり考えていた私にとって、何のため?誰のため?と聞かれると答えられなくて、それで経営指針を創る会を受講することに決めました。それまで、円熟産業である油圧シリンダ製造をこのまま続けていっていいのかなど、将来に対する不安はありましたがどうすればいいかわからなかった。創る会を受講して、自分たちの仕事にきちんと向き合うことができ、将来に対して次の一手を打てるようになりました。」
なるほど、10年ビジョンにもあった新工場や新事業はまさに『次の一手』なんですね!具体的に教えていただけますか?
お客様の利き手をつくり、支え手となる
「我が社の理念『お客様の利き手をつくり、支え手となる』には、私達は油圧シリンダというお客様のさまざまな力となる利き手をつくり、お客様の夢実現を支える手となりたいという思いがあります。今まで、支え手になりたくてもエンドユーザーが遠いという課題がありました。そこで、これまで長年培ってきた特殊油圧シリンダ製造の知識を生かし、製品の保守・点検・修理などのサービスを始めたいと考えています。エンドユーザーと直接お話することで、その情報をまた製品開発にいかすという新しいネットワークづくりが夢です。何のために、誰のためにつくるのかを全員で考え共有していきたいと思います。」
最後に、「夢を口にしてしまうと、もうやるしかなくなるじゃないですか。もともと私は逃げ癖があるので、自分で自分を追い込んでます(笑)今後新卒採用にも力を入れ、若い人が仕事を通じて幸せな人生を描ける会社にしていきたいです。」と少し照れながら語ってくださった田村さんの笑顔から、かたい決意が伝わってきました。
訪問日:2018年5月14日 文:事務局 河崎
同友会に入ってよかったこと
新米だろうがベテランだろうがみんなフラットです
同友会に入会しはや7年目になります。当初はあまり深く考えず何気なくお誘いを受け、その時の自分と会員さんとの意識のギャップを感じ、一時幽霊会員だった時を懐かしく感じます。
その後、いろいろな方との出会いがあり、例会の参加、戦略塾入塾、経営指針の作る会などに参加し、少しずつ経営者としてまた一人の人間として自分の意識が変わり今の自分があります。もし同友会に入っていなければ自分の足元ばかり下をみていたかもしれません。今では上を向き、ありたい将来を描き、それに向かってまい進する。時には挫折もありますがいつも仲間に助けられます。
城北支部ではそんな仲間がたくさんいます。同友会歴が浅かろうが長かろうが、経営者として新米だろうがベテランだろうがみんなフラットです。いつもいろんな人に支えられながら生きている。これを書きながらあらためて感じました。