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高岡支部

定塚 康孝 会員

定塚 康孝(2017年入会・高岡支部

定塚 康孝
有限会社北辰工業所

939-1118 富山県高岡市戸出栄町45-5

TEL: 0766-63-5538 / FAX: 0766-63-5539

業種: 鋳物、銘板製造

街を元気にすることが、会社の存続につながる

事務局が企業訪問してきました

 2017年9月に入会された、高岡支部 有限会社北辰工業所 定塚康孝さんを訪問しました。
定塚さんは、以前高岡伝統産業青年会の会長も務められ、高岡という地域を強く意識しながら様々な活動に取り組んでいます。歴史をつなぐ意義、難しさ、やりがいなど、様々な葛藤を抱えながらも歩みを進める定塚さん。その心の内をお聞きしました。

お仕事内容

 私達の仕事は、非鉄金属(真鍮、青銅、アルミニウムなど)を用いた鋳造です。1944年に有限会社北辰工業所を設立し、74年の歴史があります。営業品目としては、銘板、表札、オリジナル焼型、仏具など様々。高岡銅器の歴史と同じく、もともとは仏具の製造から始まった会社です。時代とともに、建築関係の製品が増えていき、最近では食器などにもチャレンジしています。このように、鋳物という仕事は変わりませんが、時代に合わせてつくるものが変わってきました。

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 現在社員は4名ですが、父が社長で、全員身内で経営しています。昔はもっと細かく分業されていて、私達のような鋳物専門の会社、色付け専門の会社などがたくさんの工程をかけて仕上げ、出来た商品を問屋さんが売るという仕組みでした。

 そういう時代は鋳物だけをやっていれば良かったのでしょうが、やはり昨今需要が減るにつれて、そうもいかなくなってきたんです。量が売れなくなってくると機械だけがどんどん古くなってくる。小ロットでも単価が高いモノづくりに取り組む会社も多いですが、うちの会社の体制ではなかなか難しいんです。
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この世界に入ったきっかけ

 私は12年前に入社しました。前はサービス業の仕事をしていましたが、サービス業は残業も多いし土日祝日こそ稼ぎ時の商売。家族もでき、30歳を越えてまだこの仕事を続けていけるのかなと悩んでいました。そんな自分のタイミングと、人手不足だった会社のタイミングがぴったり合い、一念発起、会社に入ることにしました。なので、私は全くの畑違いでこの世界に入ったわけですが、高岡銅器の仲間と出会って気づいたのは、意外とそういう方が多いということ。違う業界を経験していることで、この世界を全く違う見方で見ることができるということを教えてもらいました。

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 最初は右も左もわからず、言われるがままに仕事をしていました。身内の中で働くわけですし、会社の仕事だけを続けていたらもしかしたら嫌になっていたかもしれません(笑)そんな時、同業他社で同世代の仲間がいたことが励みになりました。高岡伝統産業青年会の偉大な先輩方のお話がとても刺激になりました。

仕事のやりがい、会社の強み

 先ほど「鋳物をやっているだけではやっていけない」と言いましたが、現在は社長と一緒に、デザイナーとも相談しながら新しい商品開発に取り組んでいます。アイディアのタネを巻き、違う業界にも少しずつタネを巻き、ちょっと芽になる兆しが見えた時に、やりがいを感じます。

<こんな面白くて美味しい名刺は初めてです!焼き印づくりも、凹凸の加減が非常に難しいんだとか。>

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 今は、一点集中することが逆にリスキーな時代なんじゃないかと思います。この業界も、小回りが利く会社が少なくなっていることや、金属を使って変わったことをしている会社が少なくなっていきていることを、逆にうちの強みにしていきたいですね。消費者の立場にたってみると、自分の趣味であればどれだけでもお金をかけますよね?そういうところに活路があると思うんです。うちのホームページを見て「こういうものつくれるか?」と電話して下さるお客様もいらっしゃいます。

<伝統ある仏具も並ぶ中、アイディアたっぷりな製品もたくさん>

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 また、展示会に出展し、同業・異業種問わず最新の情報を仕入れることにも力を入れています。
どんなものでも金属で造れることが根底にあり、金属といっても青銅やアルミなど、素材も幅広く使っていることも強みかもしれません。今後の課題でもあるんですが、業界の中でとんがった存在になりたいと思っています。会社の歴史がそうであるように、これからも臨機応変に時代に対応していきたいです。

<新しい分野に挑戦し、今人気上昇中の鋳物のお皿。穏やかな光沢と重厚感ある質感が美しいですね。>

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会社として大切にされていること

 「経験に勝るものなし」という座右の銘を大切にしています。失敗も成功も含めて、積み重なって自分のベースになっています。そこから学ぶことで、技術も工程も、より良くなっていくんだと思います。ん?と思うような仕事でも、まずはやってみる。自分のなかで知識を蓄えることで、きっと誰かの役にたちますし、またその積み重ねが会社の信頼にもつながっていくのではないでしょうか。

 そして、自分が色々な経験から学んだことを、人に伝えていくことは、もっと大切なことだと思っています。
クラフト系の仕事は、商品だけではなく、モノづくりに携わる人そのものがピックアップされることが多いんです。なので、人間的な魅力も必要だということですね。人の魅力が、会社の魅力プラスアルファになっている。この工業団地内にもプチ・カリスマがたくさんいらっしゃるんですが、夜遅くまで豪快に呑んでいたり、昼間会社をふらっと訪ねてこられて長話をしたりという方でも、裏では新技術や新商品の開発に人一倍の情熱を注いでいらっしゃる姿を見て、大きな影響を受けました。やっぱり、自分だけ会社にひきこもってくさくさしとる場合じゃないと、いつも刺激をもらっています。

街を元気にすることが、自社の存続につながる

 高岡伝統産業青年会を卒業し、今はなるべく仕事に専念するようにしていますが、工業団地の行事に協力したり、必ずどこかとつながっています。高岡の街には伝統工芸がたくさんあり、そんな地域の特徴を意識して、イベントに関わっています。昔からこの近くに住む人達には知られていても、案外若い人達にはこの団地にどんな会社があるのか知られていません。でも、そんな若い人達にも、将来ここで働いてみたいと思ってもらうには、実際に商品をみて、触ってという体験が必要です。小さな地元の輪から、ちょっとずつその輪が広がっていければと思います。

 この団地は、私が生まれた年にできたそうです。「あんなとこ行ってもしゃーないわ」と思われるのではなく、こんないい会社があるんや、こういう仕事ならあそこの会社に頼みたいと思ってもらえるように、産地として売り出したいと考えています。1社に頼るのではなく、みんなが良くなっていければ。

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 人が人を連れてくるような、元気な街になればいいなと思います。すぐには経済効果は生まれないかもしれませんが、少しずつ知名度があがり、そこでようやく自社の特色を売り出せると考えています。街を元気にすることが、必ず自社の存続につながります。高岡では、小学5年生から伝統工芸にふれる授業があり、その中の数人が地元に就職したという話も聞きました。

今後の抱負

 モノづくりはこれからもずっと続けていきたいです。ゆくゆくは父のあとを継ぐと思いますが、当面の課題は社員を増やして経営を安定させること。将来自分が年をとったとき、気ままな会長になれればいいですね~。名物じいちゃんになって、「会長また遊びに来たんけ」なんて言われてみたいです(笑)
<定塚さんの隣は定塚社長です。貴重なお時間、ありがとうございました!>
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(訪問日:2018年10月18日(木) 文:事務局 河崎)
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