となみ野支部
「ブレない戦略持ってますか?」となみ野支部オープン例会
去る10月20日(水)砺波市農村環境改善センター多目的ホールにて「ぶれない戦略その原点 なぜ こんな時に新社屋」と題して、報告者に新川支部、松井エネルギーモータース㈱代表取締役 松井健彰氏をお迎えして令和3年度の初めてのオープン例会を実施しました。
今年度はコロナ過でなかなかリアルな例会の開催が難しく、この例会も本当であれば8月に実施予定でしたがコロナのステージが上がったため延期となり、今月ようやく実施の運びとなり、今までイベントなどZOOM開催で我慢していた会員の皆様も、久しぶりのリアル例会という事でゲスト、金融機関、会員、ZOOM参加者を含めて70名近い参加をいただきました。
松井さんは2010年に先代社長である父親から事業承継を受け、同時に同友会に入会し直後に「経営指針を創る会」を受講され自社の経営理念を確立して毎年、経営指針書を作成して社員や家族、取引先の前で発表会を行い、指針書の通りに必ず実行に移す、まさに同友会活動における模範的な経営者といえます。
昭和30年代に上市町で雑貨屋さんとして事業が始まり、マイカーブームに乗ってガソリンスタンド事業に乗り出し、自動車修理業、中古車販売業と自社事業を拡大してきました。しかし最近のエコカーの登場、ガソリン高など石油販売業を取り巻く環境は厳しさを増す一方、会社の在る上市町の過疎化、人口減少の問題が会社の経営にも影を落とします。
地元の衰退に強い危機感を感じた松井さんは、地元の活性化を目的とした団体「ハッピー上市会」に参加し、最初は行政主導の力が強い中、なかなか意見が通らない中でも諦めず一経営者の目線で上市町の活性化に必要なものは何か?を説き続け、イベントの開催やヒーローキャラクター「エネルギーマン」を誕生させるなど、町の商工業にもっと地元の方々をはじめ県内の方にも上市町を注目させたいと精力的に行動されます。
地元の振興に力を入れると同時に、自社事業にもテコ入れを計ります。「上市の人は、新車を買うときは富山市まで買いに行くけど、そもそも上市にある会社で新車を買う発想がない」事に気づき、その商流の流れを上市で食い止める、車だけではなく富山市にお買い物に行くという今の流れを少しでも止めたい、その先頭に自身が立たなければと新たな新社屋建設に立ち上がります。自動車関連産業の変化や、コロナ過での経済の停滞、作業中断など、新社屋完成に向けて難題がいくつもありましたが、今年完成!大手自動車販売店にも負けない規模の社屋が完成しました。
松井さんにはお金の流れを地元で回す目的以上に、この新社屋を建てた理由として「上市町の中でも事業でこれだけの事が出来る、地元の若手経営者の見本になって多くの経営者がチャレンジする気持ちを持ってほしい」そのためには若い経営者に10年先を見据えているか、自社のビジョンを持っているか、無ければ経営者として、今後やりたい事を考えて経営理念、経営指針書を創るべきと仰っていました。
松井さんの熱い報告の後のグループ討論では現在の事業の中から新しいことは出来ないか、新規事業を起こすにしても何のために起こすのか、それを行って誰が喜ぶか等、熱のこもったグループ討論となり、ゲストの中には理念、ビジョンの大切さに気付かれた方もおり、「入会しよっかなー」とぼっそっと囁かれた方もおられました。
こうして令和3年度の最初のとなみ野オープン例会は成功裏の内に終了しました。
松井さん、ご報告ありがとうございました。
記事 写真 となみ野支部 支部長 山下 泰史