全県行事
第31回経営研究フォーラムへのご参加ありがとうございました
【時代の波を乗りこなす 社員と地域のために・・・】
2021年11月16日(火)富山県民会館にて第31回経営研究フォーラムが開催されました。
初の試みとなるハイブリッド形式での開催。
実行委員会では綿密な打ち合わせを重ね、不安材料をひとつひとつ入念に確認し、
当日にのぞみました。
理事の皆様はじめ支部幹事の皆様のご協力のおかげで、
リアル・オンラインでの参加者が、参加目標200名を超える211名と大盛況!
会員企業だけでなく、ゲスト、行政、金融機関等の方々も多数ご参加いただき、ありがとうございました。
各分科会及び基調講演の記録をまとめましたのでご覧ください。
髙橋賢代表理事挨拶の様子
小柴雅信実行委員長挨拶の様子
■第1分科会
「SDGsの実践が我が社の未来を変える
~100年先につながるアイペック・ブランドをつくる!~」
報告者:東出悦子氏 株式会社アイペック 代表取締役社長(城南支部)
株式会社アイペックは、北陸三県で非破壊検査、土木診断、建設コンサルティング、
IoT開発を展開している社員数66名を有する大きな企業体です。
アイペックは、「SDGs(持続可能な開発目標)」の課題解決を経営課題解決と捉え、
社会インフラ、構造物検査、調査を通して、社会的問題解決と経済発展の両立を図ることで、
持続可能な社会の実現に取り組むことを宣言されておられます。
ですから「SDGs」は経営理念そのものなのです。
当初は、会社の更なる発展を模索している中で、「SDGs」と出会いながらも、
中々社員とベクトルを合わせることもできず、如何にトップダウンからボトムアップし、
アイペックのブランド力を高めていくか悩みました。
そんな中、金沢工業大学 平木先生監修の「Smart SDGsビジネスマスター」によるプログラムに出会い、
「SDGsを知る」から自社への落とし込み、未来予測をしながら
「独自性、優位性を図れる社会課題解決型の新サービス」を生み出すプログラムを
社員と一丸となって取り組んでおられます。
その原点となったのが、西野美冬氏の「目指す社会として、世代を超えてすべての人が、
自分らしく、美しく生きる社会」にありました。
当初は、若い社員には、比較的受け入れていただくことはできたのですが、
中々年配社員には、浸透できませんでした。
2020年から社内でSDGs研修会を行い2021年には、第6回を数える地道な取り組みの中から、
他人事から自分事への変化がみられ、東出社長の熱意は徐々に浸透してきました。
氏のキーワードから
①SDGsは理念そのもの
②視野を広くし、顧客と視点を合わせる(会社の存続発展、社会の大きな変化に対応、社会の課題解決)
③チーム力の向上 を掲げておられます。
そして、「バックキャスティング」(未来予想を立て現在に戻って考える)
「アウトサイドインで考える」(将来の社会課題を見つける)
企業の目的は、「何のために存在しているか」に留まらず、
「未来の地域と社会を守るため」労使が一丸となって取り組む必要性を投げかけられ、
更にそれは、当然1社だけではかなわないこともあり、
企業や、地域、各種団体も連携してこのSDGsに取り組む必要性を報告されました。
さてその報告を受けてのグループ討論なのですが、
今回富山同友会環境委員会、政策委員会、経営労働委員会合同開催であったわけですが、
討論テーマ
①我が社のSDGsに気づいていますか?
②今日学んだことから社員と地域のために何をしますか?ということであった訳です。
日頃同友会活動企業活動をしていて、SDGsとは、何か特別なこと、目新しいこと
に取り組むのではないかと思われがちでありますが、
狙いの一環として普段取り組んでいることが、SDGsそのものであることを認識していただき、
例えば、当日富山市が制作された17のSDGsの項目別シールを各社の経営理念に当てはまるものを張り付けるとか、
そんなことから始められればと思っておりますがいかがだったでしょうか?
金融機関からも多くの参加出席があり、久しぶりのリアル討論が出来ました。
最後の座長のまとめで、近江座長がSDGsは同友会理念そのものだとまとめられておられましたが、
一部からは、「同友会理念や、労使見解への結びつけ」中々関連できていないなどのご指摘もありましたことを付け加えておきます。
<記録:天野修一 天野屋蒲鉾店 代表/高岡支部>
■第2分科会
「私たちが見えていない社会問題の現状
~社会的弱者を地域で支える取り組みと、中小企業の役割~」
報告者:
北嶋真人氏 児童養護施設富山市立愛育園 家庭支援専門相談員
小林涼子氏 NPO法人ハッピーウーマンプロジェクト 理事
沙魚川万紀子氏 しんぐるサポート/高岡DV被害者自立支援パサパ 代表
種部恭子氏 女性クリニックWe富山/医師・富山県議会議員(城南支部)
新村博明氏 株式会社シムラ 代表取締役 (城南支部)
今回の第2分科会では、あまり認知されていない社会問題に対し、
少しでも現状を知ってもらいたいという思いで、開催されました。
社会的弱者を地域で支える取り組みと、中小企業の役割をテーマに
パネラー4人の方に、社会になじめない子供たち、DV被害者の現状、
未成年女性の性問題等、ご自身の活動、思いをお話しいただきました。
参加された経営者の方々も、こんなことが実際にあるのかという表情で
聞き入っておられたのが、すごく印象的でした。
グループ討論では、様々な意見がでており、
共通していたのは、自分たちの身近にもそんな人がいるかも、でした。
自身の身の回りを振り返れたことが、すごくよかったのではないかと思います。
中には、「そんな事が身近に起きているなんて全く知りませんでした」と
言われていた方もいました。
今回は、自社でどう取り組むかではなく、まず現状を知ってもらう事、
そういう意味では、50名近くの参加者全員に伝わったのではないかと思います。
道のりは、厳しく 長いかもしれません。
クリアしていくこともたくさんあると思います、
「人は人でしか救うことができない」この言葉が一番心に残りました。
小さなことからでも、自社に出来る事、そこをまず考え、今後の課題として
組織として取り組む必要があるのでは そう考えることができた、
そんな分科会だったと思います。
<記録:武田茂揮 ㈱ジュープラス 部長/城南支部>
■第3分科会
「しくじり先生が描くSVG's
~滅私奉公の悪しき「率先垂範経営」から、社員を信じ任せ「感謝する経営」へ~」
報告者:杉本太一氏
社会福祉法人 松山紅梅会 梅本の里 統括施設長
愛媛同友会会員(松山支部第3地区)愛媛同友会元代表理事
杉本さんは特別養護老人ホーム、デイサービス、ケアハウスなど、高齢者の介護事業を多岐に渡り経営されています。
杉本さん、野中さんのお話しは、まるでドラマのストーリーを聞いているような波乱万丈のお話しでした。
同友会に入会前、杉本さんは多くのしくじりを経験されたそうです。
杉本さん曰く「暗黒期」は創業時から始まります。
杉本さんら創業時の役員は施設運営の経験がなく、
1年目で社員17名中15名が離職してしまうなど、
悪しき滅私奉公の習慣が染みついていたと振り返られました。
暗黒期は10年ほど続き、その間、裁判沙汰、殺人未遂事件、
窃盗、放火、手付け金詐欺、介護報酬の不正請求などなど、
まさに暗黒期と表現しても過大表現ではない事柄が次々起ります。
2007年のある日、熱意ある同友会メンバーからグループ討論の場において
「すべてあなたに原因がある」と指摘されたことから、人として正しくなろうと決意され、
覚醒された杉本さんは、社員はパートナーであり、社員一人一人の人生を大切に考え育てていくこととし、
社員と共に成長できる組織となるため積極的に人財育成に取り組まれ、再生期を経て、飛躍期に入られます。
今では、間違ったことを注意してくれる社員とビジョンを共有し実現に向けて邁進中です。
杉本さんは、2030年で完全に引退されると明言され、
それまでに、ごちゃまぜの町づくりを実現されるとのこと。
"地域で暮らす人が年齢や性別、障害の有無に限らず、
その人の持つ力を発揮しながら周囲の人とのかかわりの中でいきいきと暮らし、
安心して人生を全うすることができるまちづくり"それがSVG's=杉本・ビジョン・ゴール。
杉本氏のキラキラとした眼差し、失敗を恐れず人を信じる勇気は、
共に働いてきた仲間=社員を感動させ、実現に向けて共に歩みたいと思わせたのだと思いました。
グループ討論では、参加者の「あなたにおける〇VG's」をそれぞれのグループで発表しました。
自らのビジョンを発表したことで、ビジョン達成に向け社員とともに育っていける組織を作りたいと
参加者は心新たにできたのではないかと思います。
座長からは、社員に「アホなことまた言ってるな」と思わせる、
ビジョン達成に向けて思いの共有の大切さについてまとめがありました。
杉本さん、野中さん、楽しく、そして心温まる報告有難うございました。
きっと2030年SVG'sは達成し、愛媛のごちゃまぜのまちには、
昔ながらの人付き合いと多くの人の笑顔があふれていると思います。
<記録:西田朋子 ㈲日和 取締役/城南支部>
■第4分科会
「大転換の時代、逆境に立ち向かう経営で百年後の未来を創る
~自社から何をどのように発信していきますか?~」
報告者:福崎秀樹氏
株式会社フクール 代表取締役
富山同友会会員(城北支部)/ 情報化推進本部 前本部長
第4分科会は、平成22年に廃校となった立山芦峅小学校が、
福崎様により、芦峅寺の歴史、村の方々の思いを込めて蘇った
シェアオフィス「KOTELO」にて開催されました。
小学校の面影が多く残り、周りが自然に囲まれた開放的な雰囲気の中、
ご自身の経歴からKOTELO開業までの経緯をご報告いただきました。
福崎様は、社員に対し、日々目まぐるしく変化する不確実な社会の中でも、
自分と向き合い、社会と向き合い、自然と向き合うことで、
自分自身が幸福になるための人間力を育んでほしいという思いがあります。
しかしそのためにはまず自分自身が成長すべきであると考えます。
また、百年後の子どもたちに輝く日本を残すには、まず大人が輝くことが重要であるとおっしゃいます。
私は今回の報告で、どんな時代でも「自分の未来をたくましく生き抜く力」を
育むことが大切だと学びました。
KOTELOを通し、童心にかえり、自然の中で五感を研ぎ澄まし、自身と向き合い、
ハタラクとは、シゴトとは、を改めて考える貴重な時間となりました。
福崎様、力強いご報告ありがとうございました。
<記録:松村卓哉 ㈱松村紙工所/青年部 >
■基調講演
「時代の波を乗りこなす。社員と地域のために!」
報告者:張田 真氏
ハリタ金属株式会社 代表取締役
「時代の波を乗りこなす。社員と地域の為に!」と題して、
ハリタ金属(株)張田真社長にご講演いただきました。
講演内容は資料を多く用いて、理路整然とした構成でとてもわかりやすく感じました。
人は他人様の幸せに寄与することで幸福感を感じその幸福感は持続する。
そのような「生き方」をより良く生きる(Well Being)という言葉で表現されていました。
言葉を非常に大切に考えておられ、言葉の意味やなぜこの言葉なのか、
そして発言する言葉にも気をつけている姿勢がとても印象的でした。
社員に理念や戦略を伝えるために成文化・言語化が大切だという話は
同友会の経営理念の成文化の取り組みと通ずるところがあると思いました。
どの山(夢・目的)に登るかを決めることが重要かつ難しい、
講演を聞いて経営とは未来をつくることであり経営者は未来を描く力
そして未来を具現化する力を会得するため
日々の自己研鑽を重ね続けることが大切なのだと思いました。
<記録:山本昌樹 ㈲やまもと/新川支部>