同友会トップ » 会員紹介 » となみ野支部 » 沖田 孝之 会員

となみ野支部

沖田 孝之 会員

沖田 孝之(2008年入会・となみ野支部

沖田 孝之
㈱3BOND/㈱8BOND 代表取締役

〒939-1384 砺波市豊町1-15-5

業種: 居酒屋、スナック、ラーメン店3店舗、利賀ダム飯場経営

追求すべきは会社の存在意義。中小企業家の醍醐味は、世の中にとって本当に意味があることをやれること

okita (2).jpg

会社概要

株式会社3BOND/株式会社8BOND 代表取締役 沖田孝之(富山県中小企業家同友会代表理事/となみ野支部所属)

設立:2015年/2023年

事業内容:居酒屋、スナック、ラーメン店三店舗、利賀ダム飯場

社員数:10名(パートアルバイト61名)

年商:31,500万

 

経営者になるまで

  元々城南支部の坂井彦就さんが代表を務める三楽園グループ(飲食部門㈱ベストボンド)で働いていました。若い頃から一回しかない人生、いつか社長になってみたいという思いがありましたので、三楽園グループに入社したときも「いつか独立したいです」と言って入社したことを覚えています。

  フランチャイズの宅配ピザ店で3年間店長を経験。そこから他の飲食店も担当するようになり、 順調に役員にまでなりました。運営全般はもちろん、フランチャイズ本部との交渉も社長の代わりに全て担っていたため、自分は経営者と変わらない仕事をさせてもらっている、と当時は思っていたのですが、これは大いなる思い上がりだったということを後々痛感することになります。

 okita (8).jpg

37歳で独立

  長く飲食業にいましたが、独立開業したのは学習塾でした。

  元々飲食業も教育産業だと捉えていて、特にフランチャイズはオペレーションや価格・仕入れが全て決まっているため店舗責任者がやることと言ったら教育だけです。極論、本当に良いお店をつくろうと思ったら学校教育や家庭教育まで改革していく覚悟が必要だと考えています。

  学習塾では行動は考え方によって決まるという方針に基づき、「勉強ができない」という以前に、行動に問題があったり家庭環境に問題があったりするような子どもたちを積極的に受け入れたいという思いがありました。

 塾で起業し軌道に乗るまでの1年間、社員の給料を払えないかもしれないという状況を経験し、眠れない日々が続きました。独立前の34歳のときには社員として約1000万プレーヤーだったのですが、経営者になってからはもやししか食べられない日々。でも自分のことよりも社員の生活のためになんとかしなければ、という必死の思いで走り続けましたが、これが社員と社長の覚悟の違いなんだということを痛感しました。

 かつて自分は社長の仕事はなんでもできると思っていた時期がありましたが、社長の仕事を知っているのと、実際にその立場になってみるのとでは、こんなにも違うのだということを学びました。

 資金繰りは厳しかったですが、なんとか事業計画通りに進み、経営危機は1年間で乗り切ることができました。

 

同友会入会と、飲食店再挑戦

  2008年にスナックノアをオープンしました。砺波駅前で一番大きな店舗しか空いておらず不安はありましたが、想像を超えてたくさんのお客さんが来てくれ、その時に来てくださったお客さんから誘われたのが同友会でした。

 他にもいろんな経営者団体に入っていましたが、その時の誘い文句が独特で。「沖田くん、あなたの会社は大企業?」「いいえ」「経営者として成長したい?」「はい」「じゃあ良い会があるよ」という会話で、あ、これはなんか面白そうだ、入るしかないとその年に入会しました。

okita (11).jpg

 ■経営指針を創る会を受講して

 スナックオープンから四年が経ち、実績と運転資金が溜まってきたことで新規借入ができ、新たに居酒屋虎徹をオープンしました。41歳の時でした。

 当時のとなみ野支部では、いつも参加しているメンバーが全員「経営指針を創る会」受講生で、例会でも懇親会でもとにかく指針の話ばかり。なので、私は入会してすぐの2009年に受講しましたが、支部の先輩のおかげで、入会したら必ず創る会を受講するものだと思っていました。

 受講してみて、経営者として自分自身の考えが甘かったことに気がついたことが一番の成果です。

 独立前から飲食業は教育産業と捉えていましたが、よくよく考えると当時は売上を上げるための教育だと考えていたことに気がつき、それまで考えたこともなかった事業領域というものを考え始め、現在では全事業体での最重要要素が「教育」だと捉えています。

  もう一つ自分自身の転機となった出来事があります。

 受講時、実は塾のみの理念を創る予定でした。飲食店を経営していることは秘密にして受講したのですが、創る会第一講の夜に、となみ野支部の先輩が経営労働委員長に秘密を暴露したので、もうそこからお説教部屋...。

 結果的には「未来ある子供たちのための理念に、酔っ払いのおっさんが見えたらいかん」ということで、委員長直々に「今回は学習塾だけの理念でいこう」とお許しをいただいたのですが、創る会が終わって2ヶ月後、同友会の先輩にその話をすると「へー、沖田くんて2人いるんや」と言われました。

 最初その言葉の意味が理解できませんでした。ですが結局その時創った理念はやめました。今ではその時の先輩の言葉に感謝しています。いかに自分のエゴで経営をしていたかをわからせていただいたと思っています。

 創業者であっても後継者であっても、経営者になる人には個人理念が必要です。自分の生きる理念と経営理念がずれていたら、経営者は絶対に本気になれないからです。

 

同友会の役得とは

  となみ野支部は2006年に設立され、比較的若い支部です。私も入会してすぐに役を受けました。支部作りは組織作り。チームワークは役割分担。社長の役割は各社違いますが、野球と同じでその人に与えられた役割を完璧にこなすことが大切です。

  経営者としても支部のリーダーとしても、チームメンバーの心をガッチリ掴むことができるかどうか、そこを課題として取り組んできました。

  私が支部の幹事長になった時に、支部の中心になっていた経営指針創る会OBを集め、支部の10年ビジョンを作成。そこで出てきた各社の採用が厳しいという悩みから、地元の学校との関わりを作ろうという発想がうまれました。

 まずはあらゆる学校の便利屋になろうと決め、学校に出向き、「何でもします、何でもやります」と言ってまわり、キャリアガイダンスから体験学習、「働くとは」などの授業も受け持ちました。中学校から大学まで今も活動が続いています。

 ■人を生かす経営

  現在は塾、スナック、居酒屋、ラーメン店を三店舗、利賀ダム飯場を経営しており、弊社の社員は基本的に独立を目指して入社してきてくれています。私は社長として、社員が独立し開業して軌道に乗るまでバックアップすることを約束しています。育てて、能力を身につけて、その上で頑張りたいというのだから、支援するのは当たり前。ですが社員全員に独立することを目的にしてはダメだとも伝えていて、なんのために独立したいのか?自分が社長になったときに人がついてきてくれるための武器はなんなのか?を常々考えてもらっています。

  ラーメン店はコロナ禍の最中にオープンしました。色々な方から「なんでこんな時に」と言われましたが、同友会で私も常々「何のために経営するのか」を考えさせられていましたので、これも社員独立支援の検証のためと、厳しい環境下でしたが迷わず出店を決断しました。

  ラーメン店のおかげで、現在3年程で独立できる仕組みが整いつつあります。現在は社員全員で経営指針を作成するようになり、会社の勉強会では社員全員が損益計算書ぐらいは作れるようになりました。原価率はもちろん、どれくらいの売り上げで損益分岐点がくるかも把握してくれていて、それを店舗単位で話し合ってくれるようになりました。歩合給は店長からアルバイトの子まで払っています。単純に計算できるように店長と考えたおかげで、アルバイトの子でも売上がいくらかを意識してくれるようになりました。現場で頑張っている人たちが一番お金を貰う、は私の中で当たり前のことと思っております。売上に連動して給与が上がるのは当然の権利であり、払ってあげているという意識は持たないように話し合っています。

  飲食業はアルバイトの子の動きひとつで店の売上が全然違ってきます。つまり全員の経営意識が上がってきたことで、お店の雰囲気がガラッと変わってきました。居酒屋虎徹はアルバイトを30人抱えていますが、近くには大学もなく、バイト募集にお金をかけたこともありません。全てバイトの子の紹介で新しいバイトが入ってきてくれる、完全口コミです。

 今ようやく、色々やってきたことが身を結び、一丸となって同じ方向を向いてきているなと実感しています。コロナ禍は自社にとって大きな躍進のチャンスとなりました。社員一丸となっていれば  チャンスはどこにでもあります。コロナ前に比べ150%前後で推移する店が出来ました。

okita (5).jpg

 ■これから

 同友会で共に学ぶ仲間に伝えたいのは、どんな経営者でもまずは個人としての理念を持ってほしいということです。中小企業はよくも悪くも、経営者の人柄が色濃く出てしまいます。

  自分が死んだときにあなたにあえてよかったと言ってくれる人が何人できるかが個人理念だとすると、社員からあなたの会社があってよかったと言ってもらえるかどうかが経営理念。私自身も、社員が独立して数店舗持って、経営者同士対等にしゃべれるようになったとき、㈱3BONDという会社があって本当によかったと言ってもらえると思っています。

  その思いはまさに社員教育に通じます。社員全員に「アルバイトはいつか卒業する。今日や明日どうかなるための教育はするな。卒業して10年後、あそこでバイトしててよかったと思われる教育をしなさい。叱ってもしその日辞めてしまったとしても10年後ありがたいと思ってもらえるなら自社の存在価値がある。」と伝えています。

  中小企業は親学びの場。労使の関係だからこそできる教育があるし、やらなければいけない教育があると思って日々精進しています。社会を変えていくためにはやはり中小企業が必須です。中小企業家の醍醐味は、世の中にとって本当に意味があることをやれることです。事業を通して社員を立派な大人に育てていくことができる。

  労使見解にも「社員はパートナー」という言葉がありますが、グループ討論でもよく「社員のために」という言葉が出てきます。ですがそこをもっと掘り下げて、「それは単なる社員迎合になっていませんか?社員がやってはいけないことをした時に、ちゃんとダメだということを伝えられていますか?」と聞くことがあります。言葉は綺麗でも結局単なる駒として扱ってほしくないからです。

  社員に対してこんなこと言ったらめんどくさがられるかな、嫌われるかな、と思っていませんか?経営者の行動言動に、社員に対する本当の愛があるのかどうかということを、富山同友会で議論を深めていければと考えています。

  売上とはお客様満足度を上げた結果です。経費はお客様満足度を上げるためのお金です。利益とは理念追求のための原資です。そもそも理念がなければ企業として存在意義がありません。追求すべきは会社の存在意義。優れた経営者になれれば必然的に数字も良くなる。共に同友会理念を実践していきましょう。

 

(記:2025年4月22日  文責:事務局 河﨑)

県内500社以上、全国45,000社の経営者と一緒に学んでみませんか?
経営者や経営に携わる方、これから経営者になる方、個人事業主各種専門家 経営に関わる方ならどなたでも参加できます!
お気軽にご相談、お問い合わせください!

中小企業家同友会は経営に携わる方、これから経営に携わる方なら事業の規模を問わず誰でも参加できます。まずは「同友会ってどうゆう会?」の疑問を直接ご相談ください。

入会のご相談・ご不明な点はお気軽に同友会事務局まで

076-452-6006〒930-0827 富山県富山市上飯野25
営業時間 9:00〜18:00(土・日・祝を除く)
中小企業同友会 DOYU NET 全国の会員企業がわかる 同友会会員検索 JobNet 中小企業同友会就職情報サイト となみ野支部 ビジネス交流委員会 同友会活動支援システム
PAGETOP