城北支部
赤池 龍 会員
赤池 龍(2015年入会・城北支部)
人は愛さなければ育たない~社員教育は、社会を良くする人を育てること
事務局が企業訪問してきました
株式会社セイシン 常務取締役 赤池龍さん(共育委員長/城北支部)は2015年に入会、2018年度共育委員長に就任されました。
もともと教育に対して並々ならぬ情熱をお持ちの赤池さんですが、今回のインタビューでは、その情熱の根源、なぜ教育は必要なのか、というテーマでお話をお伺いしました。
赤池さんにとって、社員教育とは?
まず根底にあるのは、大切なお子さんをお預かりしたからには、責任を持ってひとかどの人物になるように育てなければ、という思いです。
キーワードは「感謝」。松下幸之助氏が面接時に尋ねた問いにもあるように、自分は運がいい、今自分がハッピーだと思えるかどうかというのは、周りに生かされていることに感謝できる人がどうか、ということだと思います。考え方ひとつで人生が変わる、つまり"考え方"というのは"生き方"そのものなんです。
雨が降っても風が吹いても、なんでも「ありがたいなぁ」と思える自分になれるかどうか、そういう視点で社員教育に取り組んでいます。
そもそも社員教育とか、教育研修なんていうものは、かなり上から目線のおしつけがましいものでしょ?だって、そこには「ねらい」があるわけですから。こんな風に育ってほしい!という思いだって、受ける側にすればただのお節介ですからね。
ですが、例え鬱陶しい、お節介だと思われたとしても、大人として子ども達に伝えなければならないことってあると思うんです。それが先程お話した「感謝」です。感謝できる人になること、人から感謝される人になること、これらは人間的成長において普遍的なテーマです。
なぜそんな風に考えるようになったのか?
これまでたくさんの人達に助けていただいて、今の自分があります。
例えば、今の会社に勤めてからしばらくして、私生活において大変辛い出来事を経験しました。「こんな状態じゃ仕事は続けられないだろう・・・」と一人で悩んでいた時、ある上司の方が僕にかけてくれた言葉や、僕のために動いてくださった行動に心から救われました。助けてくださった人達への感謝、そしていつかは恩返しできる人になりたいという思い、それが僕自身の原動力です。
社員教育のテクニックに興味があるわけではありません。昔、お坊さんになりたかったんですよね。人生でしんどい時って誰にもでありますが、そこからどうするか、諦めるのか、立ち上がるのか、選択は自由です。極論、自殺するのも自由、家でゲームばかりしてるのも自由、只々会社行くのも自由、「人にどうすれば恩を返せるか」を考えて生きるのも自由。自分の生き方は自分自身だけが決められるんです。
同友会共育委員会で取り組む社員教育研修では、どの選択をするかは自分次第、でも自分のために色んな人が力を貸してくれている、ということに気がつくきっかけになればいいな、という気持ちで取り組んでいます。
例えば、毎年3月末には新入社員研修会と言って、まさにこれから社会に一歩踏み出す子達のための研修を行なっていますが、彼ら彼女らには、何かテクニックを持ち帰るのではなく、「私って運がいいな!ハッピーだな!」というような心の状態で働いてもらいたいというメッセージを込めた研修内容です。
そういう心持ちの人って、きっとチャーミングだと思うんですよね。
働くことを、お金を稼ぐ手段としてしかとらえてない方が非常に多いと感じています。そうとらえているのは若い人達だけでなく、残念ながら経営者でも少なからずおられます。今後世の中が機械化されていった時、そういうとらえ方でいると、本当に仕事が無くなってしまいます。
AIで世の中はこうなる!なんていう未来予測だって、大体は外れるもんです。10年後も100年後も変わらない価値観とは何か?と考えた時、やっぱり"人づくり"。今後も続いていくのは"人"しかいません。だからこそ、社員教育が大切なんです。
景況や消費者ニーズによって取り扱い商品は変わっても、その変化に対応できる人が会社にいるかどうかが企業存続の要。言い換えれば、企業存続はそんな人を育てられるかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。
人は愛さなければ育たない
先日参加した例会で、飲食店を経営されている方が「社員達には早く独立してもらいたいと思っている。自分の力で生きていける社員を育てられるかどうかが、経営者として大切なこと」と仰っていました。会社の先輩から教えてもらった考え方を、独立した先で、今度は自分が若い人たちに伝えていく。社員教育とは、誰かに頂いた恩を返していく、プラスの連鎖です。
人は愛さなければ育ちません。社長が毎日のように「俺ゴルフ行ってくるけど後ちゃんとやっとけよ」なんて言っちゃう会社で人は育ちませんよね。働くことを通じて、世の中の役に立つ人になってほしい、いつか偉くなった時には俺の名前を言ってくれたら嬉しいな(笑)ぐらいの考え方が良いのではないでしょうか。
なんだかんだ言っても、社会を良くする運動なんですもん、中小企業家同友会というのは。もし社員が辞めたいと言ってきたとしても、その子に対して良い影響を感染させていれば、その子が次に勤める場所でも良い影響を周りに感染させてくれるはずです。この連鎖こそ、社会を良くする連鎖です。
<フレッシュマンフォローアップ研修会の様子>
共育委員会って、面白いですよ。人育てにはそもそもゴールはありません。ゴールが無いからこそ、もっと違う向き合い方があるのでは?もっと効果的な方法があるのでは?と、ずっと考え続けてくことにやりがいがあります。すぐに結果が出ないことが、案外世の中を変えていると思いませんか?私達が取り組むのは社会を良くする運動です。次世代を担う若い人達に向けて、自分達に何ができるかを考えられる会、社会を良くする人を育てる運動を担っているという、夢がある会です。
<研修冒頭、アイスブレイクとして取り入れたフォトロゲイニング。研修の設営に経営者側が携わり、社員達と本気で向き合います>
本音言うと、社員研修のプロでは無い私達が、研修を1から企画し準備するわけですから、結構大変なんですよ・・・お金ももらえませんし(笑)
でも!この研修を受講してくれた人達が各社で活躍し、世の中を良くしてくれると思えば、やっぱりプライスレス!
<研修前に会場の下見を兼ねて、企業側だけでフォトロゲイニングのリハーサルを行いました。皆さんお忙しい中なんとか時間をつくり、体当たりで社員研修を創り上げています。>
最後に
昨年12月に行われたフレッシュマン・チャレンジリーダー合同研修(※1)で、
同社社員のKさんがチャレンジリーダー枠で参加された時のこと。
(※1、フレッシュマンは新入社員、チャレンジリーダーは入社3年ぐらいの方)
チャレンジリーダー達はそれぞれフレッシュマンのグループ討論に加わり、ファシリテーター役を担うのですが、初めて会う人同士の討論をスムーズに進めるのは、経営者でも大変難しいものです。
緊張して中々意見を出せないフレッシュマン達に対し、Kさんはご自分が新入社員だったころの失敗談などを話し、緊張を和らげみんなが発言しやすい雰囲気づくりを心がけておられました。結果的にグループ討論は盛り上がり、フレッシュマン達はお互いの意見の違いを自身の学びに置き換えることができました。
「挫折から何を学びどう立ち上がったのかを語れる人になってほしい。」と常々仰っている赤池さん。Kさんの姿から、赤池さん、そして(株)セイシンが実践されている社員教育の在り方が伝わってきました。
貴重なお時間、ありがとうございました!
(取材日:2019年2月4日(月) 文:事務局 河崎)
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