射水支部 東洋パック 副代表 中村理起子さんのもとへお邪魔しました。
中村さんは、射水支部長柳沢浩さんの勧めで2017年6月の女性経営者全国交流会in富山にゲストとして参加し、それがきっかけで入会されました。
お仕事内容
当社の仕事内容は、包装資材の卸売販売、プラスチック食品製造販売です。主な取引先は食品加工会社さんで、水産関係が中心です。干物を載せるプラスチック籠や、かぶら寿司や黒作りの容器として使われている硬質プラスチック容器を作っています。
家族経営ではありますが、家族の他に、社員は10名おります。
主人が創業し、創業から37年が経ちます。もともと、包装資材(ダンボールなど)を仕入れて売るという業態から、現在のようにプラスチック成型までできるように変わってきました。
私が会社に関わり始めたのは、約25年前に下の娘が保育園に通い始めたことをきっかけに、経理などの補助業務の仕事からスタート。それからしばらくして代表である主人が体調を崩し、なかなか会社に出られなくなってからは、私が営業なども担当するようになりました。
工場見学
こちらが製造現場です。ほとんどの工程を機械が行ってくれています。
最初ホタルイカを載せる折りの製造から始まり、それが当時よく売れたことから佃煮容器や干物籠の型を作り始め、今では150種類の型があります。
透明な容器から、色付きの容器まで様々な製品を扱いますが、当社は自社工場内でプラスチック材料に色付けしています。これがその機械です。
そしてもう一つの事業である段ボールの卸業ですが、最近では自動車関係のお取引が中心です。
経営理念塾を受講して
高岡・射水・氷見支部が合同で行っている経営理念塾という勉強会があり、柳沢さんに受講を勧められました。勧められた時、「会社の仕事も忙しいし、自治体の役も受けているので...」と最初断ろうとしたんです。毎年やっているのだから、タイミングをみて来年受ければいいかなと思って。そうしたら柳沢さんが「中村さんの会社、来年はどうなってると思う?来年もうまいこといっとる自信あるけ?」と言われ、その言葉にびっくりして、これはまずいぞと思い「やっぱり受けます!」と覚悟を決めました。
経営理念塾を受講する中で、経営に対し、どうしても卑屈に考えてしまう自分を発見しました。ずっと、「代表である主人の代わりに私が営業を、会社経営を、全部やっていかなければ」という思いだったのですが、先輩経営者からの指摘のおかげで、なんとかその自分を乗り越え、「自分一人では何もできない。みんなを信じて、みんなを巻き込んでやっていきたい」と思えるようになりました。また、自分は自分、社員は社員と壁を作っていたことに気が付いたおかげで、今では社員一人一人と時間をかけてよく話をするようになったことも、大きな変化です。
経営理念はもう少し修正をしてから社員のみんなに発表したいと思っているのですが、最近は何か困ったことがあるとき、「人を生かす経営」を読んでいます。経営理念塾でわからないところがあった時、これも柳沢さんの勧めで、八嶋合名会社の八嶋さんのところに質問しに行きました。八嶋さんはいつも理論的にズバッと指摘してくださる方なので、実は最初ちょっと怖かったのですが、結果的に八嶋さんにお聞きして本当に良かったです!私が考えていた理念の中で、うまく自分の思いを表現できずにモヤモヤしている部分があったのですが、八嶋さんから助言して頂いた「形あるもの、形のないもの、両方重なっている部分もあって、それでいいんだよ」という言葉を聞いて、一気に腑に落ちました。
最終講 経営理念発表の前に、イトウ室内(株)の伊藤さんのところにも相談に行きました。
伊藤さんは「2016年第22期 経営指針を創る会」を受講された時、最終講の経営理念発表で、会場に来てくださった奥様からの衝撃的な一言によって、ご自分に足りなかったものにようやく気付くことができたそうです。それがきっかけで、会社が大きく変わり始めたというお話をお聞きしました。それと、助言者からの客観的な助言により、伊藤さん自身も気づいていなかった自社の付加価値に気が付くことができたというお話も、とても参考になりました。直接体験談を聞けたのは有難いことでした。
もう一つ伊藤さんのお話で印象深いのは、伊藤さんが同友会に参加された最初のきっかけが、紹介者の向井さんから「例会の帰りにラーメンを食べに行こう」という気軽なお誘いだったことです。私も最初、県外に営業に行くのがとても怖かったのですが、北海道の毛ガニを食べて来ようとか、和歌山ではシラス丼を食べようとか、そんな思いでなんとか一歩が踏み出せたという思い出があります。どんな他愛のないことでも、最初の一歩踏み出すきっかけは大事だと思いました。
半年間の受講期間でしたが、本当に充実した時間を過ごせたと思います。私の周りに受講するかどうか迷っている人がいたらぜひ勧めてあげたいと思います。
とやま夢づくりフェスタに参加して
経営理念受講修了してすぐの9月に開催された「とやま夢づくりフェスタ」にも柳沢さんから「出展してみんけ?」とお誘い頂き、なんか面白そう!と思い、出展することに決めました。ところが私よりも一緒に働いてくれている長女の方がやる気になりまして(笑)夢づくりフェスタの出展者説明会などには娘が積極的に参加してくれていました。
フェスタは体験型ブースにしようと決め、娘とともに色々と構想を練りました。当日は、当社のプラスチック容器に好きなお菓子を入れて、シールを貼って、ラッピングができるという体験内容にしたのですが、全くお客さんが来てくれなくって...。その日は長女も次女も手伝いにきてくれていたのですが、みんなですぐに作戦を練り直し、「マニュキュアで絵を描けるようにしてみたら?」「ビーズを入れてみたらどうかな?」など意見を出し合い、「よし!ビーズだ!」となってすぐに百均に走りビーズを調達してきました。
最初のコンセプトは「プレゼント大作戦」だったのですが、「お菓子の玉手箱」にコンセプトを変え、キラキラしたカラフルなビーズを用意しただけで、なんと女の子達がわんさと寄ってきてくれたんです!!どうにかしなければならない時、ちょっとした単純なアイディアでも流れが変わる瞬間があるということが、この時強く実感しました。「あと10分しかない」と思って諦めるか、「あと10分もある!」と思うか、それだけで全然変わってくるものですよね。自社経営において、とても勉強になりました。
これからの夢
昨年6月の女性経営者全国交流会in富山に参加したのが、私と同友会との初めての出会いです。その時「ファミリービジネスへの挑戦~良い会社づくりは良い土壌づくり~」というテーマの分科会に参加しました。その時は報告者の方のお話を聞いて、会社の土壌づくりなんてまさかこんなこと解決できないだろうと思っていたのですが、報告のあとのグループ討論では他の女性経営者の皆さんがとっても前向きだったので、私もそのパワーにつられて「今はこんな課題がありますが、将来こうなったらいいな」と話していました。すると驚くことに、その時話していた自社の課題が、徐々に解決しつつあり、夢に少しずつ近づいているという実感があります!
娘がシール等のデザインができるので、今後はその力を伸ばして、全体的なイメージを含めて商品提案ができるような会社になっていきたいと思っています。以前、六渡寺海岸の清掃に参加したとき、最初大量にあったゴミが、みんなで清掃し終わった後にはきれいさっぱり取り除かれました。何か行動を起こせば何かが変わるということを感じました。私達東洋パックも、事業を通して希望を発信できる会社にしていきたいと思います。
そしてゆくゆくはフーテンの寅さんのように、全国で商品を売り歩きながら、全国の名所で趣味の俳句を詠みたいという夢もあります。目指せ!フーテンの寅子さんですね!!
編集後記
実は、私と中村さんは子猫の親戚同士なんです(笑)中村さんの会社のご近所さんで子猫が産まれ、あまりの可愛さに一目ぼれして一匹ずつ譲り受けたところから、子猫繋がりのご縁ができました。
今回お話を聞いていて、「経営理念塾も、とやま夢づくりフェスタも、何かひとつでも自社に活かせることを持ち帰りたい!」という前向きな姿勢がビシビシと伝わってきました。
同社の製品は、富山の魅力を包む製品でもあります。ホタルイカやかぶら寿司、それらのイメージを向上させ、より魅力的な付加価値となることができる、可能性に溢れた本当に素敵なお仕事だと感じました。
中村さん、お忙しいところ貴重なお時間ありがとうございました。
(訪問日:2018年11月7日(水) 文:事務局 河崎)