城南支部
福田 朋恵 会員
福田 朋恵(2023年入会・城南支部)
〒939-2706 富山県富山市婦中町速星335-4
TEL: 076-465-3128 / FAX: 076-465-3128
業種: 居酒屋2店舗、もつ鍋惣菜製造工場
商品への確かな自信と挑戦し続ける姿勢
出会いは一瞬 繋がりは一生
「ここで働くことができて良かった」と思える環境作り
~共育から気づいた人との向き合い方~
事務局が企業訪問してきました
城南支部 福田 朋恵さんのもとにお邪魔させていただきました。
福田さんは2023年2月に入会され、青年部会・女性部会にも所属されています。
いつもパワフルな福田さん。最近は共同求人委員会や共育委員会によく出席されている姿をお見かけします。
今回は、同友会に入会されたきっかけや自社の共育・求人についての思いを聞かせていただきました。
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【自社の事業内容】
2008年9月 富山駅前に『もつ家 福多』をオープンしたのが始まりです。
弊社の代表...私の主人は八尾町『お多福 水谷店』の息子で祖父母は婦中町速星にあるお多福の創業者ということもあり、そこで育ったという環境もあってしばらくは修業していました。
人口が多い富山駅前で勝負してみたいという思いから、私たちが結婚して2年目のときに主人が独立し、『もつ家 福多』をオープンしました。長男が生まれて1年目でしたかね。前からそういった話は主人から聞いていたので、「やってみようよ」という風に言いました。私は結構なんでも挑戦してみたらいいと思うタイプなんです。
私自身、結婚した当初は介護士として働いていたんですが、長男を妊娠した際、つわりが酷くて1ヵ月で11キロも痩せちゃったんですね。精神的にも追いつめられることが多くなって仕事を休むことが多くなり、このまま会社に迷惑をかけ続けるわけにもいかないと思い退職して、その後、『もつ家 福多』が開店する事になり、主人と一緒にお店を営むこととなりました。
(左:もつ家 福多/右:MOTSUYA 福多 其ノ二)
その後、ご縁があって2014年6月には2号店である『MOTSUYA 福多 其ノ二』をオープンさせました。
しかし、コロナの流行によってはじめての赤字を経験しました。そんな中で、何かできないかともつをパックにして出してみたら意外と評判が良かったんです。そういったことから、2023年4月から食品製造業を本格的に始動しました。
―はじめて食べたとき、焼もつが本当においしくて驚きました。他店と何が違うんでしょう?
ありがとうございます。私自身は焼きもつよりも鍋のほうが好きなんですが、焼きもつは刺さる人には本当に刺さる商品だと思います。以前来店されたおじいさんが1人で6人前召し上がっていて、何回も大丈夫か確認したことがあるくらい、好きな人には刺さるみたいです(笑)
もつだったりお店で扱っている商品に関しては、代表が特にこだわっている部分です。自分が納得したものしかお客様にはお出ししないと決めています。
オープンした当初はオープン景気もあり、1~2年は売り上げも好調でした。しかし3年目は中々売り上げが伸びず、特に夏の売り上げが低迷していました。
今から考えると私たちのリサーチ不足なんですが、「もつ鍋屋」という印象が強すぎたんですね。夏に食べるものの候補としてまず上がってこなかったわけです。
そういうこともあって、代表が数年かけて揉み込みダレと漬けダレを開発しました。まかないのときに従業員みんなでああでもないこうでもないって言いながら試行錯誤を重ね、現在の形に落ち着きました。
また、牛は月に2回隔週でしか仕入れられないので、牛は食用に加工されたその日に20頭ほど仕入れてきて、手作業で洗浄しています。
焼きもつ用ともつ鍋用で適した脂ののり方があって、そのあたりの選別は全て代表が行っています。他店との違いはこういうところかもしれません。
【同友会入会のきっかけ】
元々経営者団体と呼ばれるような集まりには代表も私自身も入っていなかったんです。代表が入っていないのに私が入るのも変じゃないかと思ってましたし、家庭のこともあって二の足を踏んでいるような状態でした。
しかし、コロナ禍に入って人と会う機会も激減して、このままじゃだめだ、とにかく色々な情報が欲しいと思ったんです。代表ができない部分は私が支えていこうと決意し、2022年の第32回経営研究フォーラムにゲストとして参加させていただき、2023年2月に入会しました。
【同友会で学んだこと、学んで実践したことや変化したこと】
私にとって同友会は『正しい知識を得る場所』ですね。
自社だけを中心に考えてしまったり、自分の立場的にも周りの人に相談できないことも多くて、しんどいなあと思って同友会に行くと、同友会の理念だったり活動だったりを通して、自分の進むべき方向が間違ってないんだと再確認することができます。他の経営者団体にも所属していますが、同友会は「学ぶ場所」という意味合いがすごく大きいところです。
様々な業種の方たちがたくさんいらっしゃって、勇気も励ましもいただける環境ですごく勉強になりますし楽しいです。今まで知ることが無かったようなことを知れますし、他の方のちょっとした発言にもアンテナがピン!と張るようになりました。
また、グループ長や知る会の司会などチャレンジさせていただける環境もあって、前に立つことがあまり得意ではない私には有難いことだなと。今後会社を発展させていきたい上で、前に立つことは避けられないと思うので、依頼されることはなんでも引き受けるようにしています。
ー最近共同求人委員会や共育委員会の活動に参加されることが増えましたが、何かきっかけなどあるんですか?
最近、堺さん(射水支部/堺義洋税理士事務所 所長)に顧問税理士をお願いするようになって、同友会のことを色々聞いていると、そういう委員会があると教えていただいたんです。また、共同求人委員長の渋谷さん(城北支部/㈲hs style 代表取締役)がたまたま弊社のお店に食べに来てくださっていて、色々なお話を聞かせていただいたんです。
弊社の若手社員とも「新卒を取りたいね」っていう話を去年からしていたんです。若手社員の成長の1つのきっかけとして新卒社員を採用したいんですね。弊社は新卒採用をしたことが無いので、来年度は難しいけど再来年度に向けて準備していこうと委員会活動に参加するようになりました。
また、若い時って「どうして、何のために自分は生きているんだろう・働いているんだろう」って思うことがあると思うんです。実際私も思っていた時期があります。
弊社のお店でも学生の子だったり若い子たちが働いてくれています。それも偶然じゃなくて必然的にご縁があって働いてくれていると思うんです。だから企業として、その人たちが「ここで働けて良かったな」と思えるような環境を作らないといけないと考えています。
この1年間を通して、私は全然人と向き合えていなかったなと気づいたんですね。人にフィルターをかけて見てしまっているというか。ちゃんと向き合っているつもりでしたが、自分に良いように解釈したり、見たくないものには蓋をするというか...。
自分に良いように物事を見てしまうというのは裏返して言えば、「相手のことを信頼しきれてない」ってことだと思うんです。それは私自身の弱さでもあるなと気づきました。このフィルターを取らないと現実をしっかりと見ることもできないし、相手と信頼関係を構築することもできないなと。
相手にとって嫌なことでも伝えていかないとその人自身の成長には繋がらないので、私の考え方が全部正しいというように伝えるのではなく、「私はこう思ったよ」というように自分自身の正直な気持ちを伝えるようにしました。
1年経ってみて、そうやって伝えた社員との信頼関係がグッと縮まったなと感じています。その社員だけじゃなく、他の従業員ともです。
この経験から社員教育について詳しく勉強していきたいと思い、委員会活動に参加するようになりました。
【働く上で自分の中で大切にしていること】
働く仲間が幸せであることです。
人によって、チャレンジできる環境が幸せであったり給料が高いことが幸せであったり様々だと思います。それぞれが働いていて幸せだと思えるような環境を作っていかなければと日々考えています。
また、社会の方々から必要とされるような企業になっていきたいです。弊社の利益が上がるということは社会に必要とされているということだと思います。ですのでまずは利益を出すことですね。
【今後の展望や挑戦していきたいこと】
社長とは年商10億円達成できるようにという目標は掲げています。ですが、そこにいたるまでに何をしなければいけないか・どうやっていくかという点がまだまだふわっとしている段階なので、現実的に考えて行動に移していけるように動いています。
また、無人販売事業にももっと力を入れていきたいと考えています。弊社の工場の前でも無人販売所を作っています。弊社の商品に興味を持っていただき、冷凍餃子無人販売所の大阪ふくちぁん餃子さんとコラボという形で販売させていただいたんです。すると、これが意外にも好評でした。
こういったご縁もあり、今月まず1店舗目を大阪でふくちぁん餃子ともつ家福多のW店舗という形で無人販売所がオープンしました。8月末までに関西に4店舗・関東に2店舗の出店が決まっています。
(無人販売所で販売されている焼きもつ・もつ鍋セット)
ここは私自身の強みだと思うんですが、大勢の方々に心配していただくだけではなく、こうやっていろんな方からお仕事をいただける営業力を少しは持っているということですね。ただそうやってお声がけいただくことによって、どういった場所が売れやすいとか把握できるようになってきましたし、経験値を上げることができました。
場所をお借りしている以上、相手側にも利益が出るようにしなければならないとは強く思っています。お客様に受け入れて頂けるような商品をしっかりと追及していくというのが弊社のできることですし、やらなければならないことです。
商品自体もあまり類を見ない商品ではあると思うんです。県外の展示会に出展した際も、「富山」と「もつ」ってあまり結びつかないんです。あるのは理解されたとしても、「良い商品」とはならないんですね。弊社の商品と博多のもつ鍋セットがあったとしたら、皆さん博多の方を購入されると思います。存在がまず知られていないので、まずは知っていただくことからですよね。その部分を強化していきたいと思います。
(製造工場前にある無人販売所)
また、今後はFC展開も視野に入れて考えています。ただ、どういった業態でやるのかはまだ決まり切っていません。お酒離れが進んでいる現在、居酒屋としてFC展開をしていくのか、それとも定食屋だとか違う業態でやっていくのかは今後また市場も見ながら考えていく必要があります。
まだまだふわっとしている展望です。今言えることとしては、とにかく黒字化ですね。
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《訪問しての感想》
今回福田さんのお話を聞かせていただき、社員さんのことだったり周囲の人のことを良く考えて見ていらっしゃるんだなと改めて感じました。
「私の話聞いていたら皆さんわくわくするらしいんです(笑)」とおっしゃられた通り、話を聞いているとお店でやりたいことや将来こうなりたいというアイデアがたくさんあって、今後どんな風に展開されていくのか、事務局も追い続けていきたいと思います!
福田さん
お忙しい中貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。
(訪問日:2024年6月10日 文:事務局 岡本/写真:事務局 岡本・澤田)