となみ野支部
金谷 将 会員
金谷 将(2017年入会・となみ野支部)
〒932-0314 富山県砺波市庄川町青島93番地
TEL: 0763-82-0799 / FAX: 0763-82-0930
業種: 木製の住宅内装部材(ドア枠、窓枠、笠木、カウンター等)の製造・加工
地域への考え方が180°変わった!目指すは地域に貢献する企業づくり
「経営指針を創る会」を受講して得た気づき
~変化した自分自身の考えと、新たに発見した「庄川町」の魅力~
事務局が企業訪問してきました
となみ野支部 金谷 将さんのもとにお邪魔させていただきました。
金谷さんは2017年9月に入会され、2022年度・2023年度の青年部会長を務められました。
前回会社訪問させていただいたときには専務取締役だった金谷さんは、2022年5月に現会長であるお母様から事業承継され、代表取締役に就任されました。
代表に就任されて約2年、事業承継前に受講された「経営指針を創る会」での気づきや変化、そして青年部会長を務められての感想など、様々なお話をお伺いしました。
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事業内容や当時の思いなどは第1回目の会員訪問をご覧ください!
第1回目の訪問をご覧になっていただくと、今回の内容をより一層詳しくご覧いただけます。
(https://toyama.doyu.jp/member/000782.html)
【新事業の紹介】
庄川エンボース工業所では、2022年から端材を使って新しい商品を作るという試みしています。
最初は従業員の中で「商品開発をしてみよう!」と軽く始まったものが、今では社外のデザイナーと連携し、本格的に製品を作って販売されているそうです。
訪問した際にも、最近新しく作ったというワイングラスラックを見せていただきました。
他にも、無印商品で販売されている観葉植物を置くための製品を作ったり、端材活用のワークショップなども行っています。
(ワイングラスラック。このあと塗装するのだそうです)
(最近はレーザー加工機も導入され、新しいモノ作りにも挑戦されています)
【「経営指針を創る会」の受講前後での変化】
元々「経営指針を創る会」を受講するきっかけは、自分が代表になるタイミングで受講したいという旨を会社の皆に伝えていました。
今までは会社の歴史を詳しく知っているわけではなかったんですよね。
創業者の祖父や先々代の父がどういう思いで働いていたか、会社をどういう風にしていきたかったかなど、知らなかったことを知るきっかけになりました。働いている従業員の方々や、現会長である母に色々話を聞いたのはもちろんですが、関わったことのないOBの従業員の方にも直接会いに行って当時の話を聞きました。
「経営指針を創る会」を受講する前より会社のことを知れた・深く理解できた点が、すごく良かったなと思います。
また、地域に対しての考え方も180°変わりました。
庄川って、昔は岐阜から伐採した木を流してたんですよ!木を川に流すっていう運搬方法だったんです。だからこのあたりの地域は、貯木地として栄えてたんですね。それがきっかけで、このあたりの地域は木工業が盛んになったんです。
(金谷さんの会社では、写真のようなVカット成形品の生産を得意としておられます)
(季節や天候によって切れ込みの深さなど微妙に変えているそうです。まさに職人技!)
―そういった歴史を知ったことがきっかけで地域に関しての考え方が変わったんでしょうか?
そうなんです。正直、元々は地域の祭だとか地域のことに興味を持てなかったんですよ。
自分自身、学生の頃に富山県から出ていたこともあって、地元にずっと住んでいる方と比べると、地元愛がなかったというか。だから地域の行事にはあまり参加していなかったんですよね。
ですが、話を聞いたり歴史を知ることで、今この地域で仕事をさせてもらってるのは当たり前じゃないんだなと。
昔からの歴史があった上で今があることに感謝しなければいけないし、地域に向き合って今後この町をずっと綺麗な状態で後世に残していかなければならないと「創る会」を受講している際に強く感じました。県外に出ていた経験も含めて、富山県の庄川という地域の良さに気付くことができたんです。
―一度県外に出られたのにそれでも地元はすごいと思えるのは、それだけこの庄川という地域に魅力があるんですね。
本当にそうなんです。他の県だと獅子舞をやってない地域もありますよね。
このあたりでは、あるのが当たり前です。当たり前と思ってやっている地域の方々のすごさに気付けました。
創る会を受講したことによって、色々な視点で見て、考えられるようになったことが、自分の中では一番大きいですね。
それからは地域祭や行事に参加するようになりました。
今年は獅子舞の会長をしています。私自身は獅子舞できないんですけどね(笑)
【事業承継して約2年、当時から考えて一番印象に残っていること】
今までは、上層部が全て指示を出して従業員に仕事してもらうトップダウンの組織体制だったんです。私自身も専務として入社し、そういった現状を目の当たりにしました。
同友会で学んでいる中で、従業員が自ら考えて行動できる環境を作りたいという思いが強くなり、代表に就任してからはこの点を一番に考えて行動しています。
例えば、朝礼やMTGの場では必ず1人1つ意見を述べてもらうようにしたり、昨年から月1回キャリアコンサルタントを招き、会議のファシリテーターを担当してもらい、誰でも話しやすい環境を作ることを意識しています。
3ヶ月に1回、1人1時間ずつ、私には言えないようなことや健康面のケア・相談について個人面談も行っていただいています。
―従業員の方々に仕事を任された際に、その思いはより強くなられたんでしょうか。
そうですね。2022年にコロナに罹患して会社を休んだんです。正直、そのときまでは(自分がいなくて会社大丈夫かな...)と思ってました。
いざ休んでみると、自分がいなくても会社はちゃんとまわったんですよね。そのときに、従業員をもっと信頼して仕事を任せないといけないなと思いましたし、私がわざわざ現場に出て現場の仕事をする必要もないのかなと感じました。
私は私にしかできない仕事...「社長の仕事」をやらないとダメだと気づきましたね。
今までは現場に入っていることがほとんどでした。最近も多少現場に入ることはありますが、ほとんどは従業員に任せています。一応、今月中には現場のことは全て任せることができるよう、計画をたてて行動してきました。
【2022年・2023年度の青年部部会長を務めて】
この2年を振り返ってみて、
「部会長を務めて、それがどういう風に自社に良い影響を与えたのか」「部会長を務めるとこんなに良いことがある」
という姿をもっと若い会員に見せて伝えたかったですね。それが全然かなわなかったというのが率直な感想です。
今回、青年部会北陸ブロック長を引き受けたのも、こういった経緯が理由の1つです。
歴代のブロック長と比べると、私は何も成し遂げていないし、身の丈に合っていないのは重々承知しています。
でも、この大役を担うことによって、歴代の素晴らしい経営者の方々のようになれるかなという思いと、自分を追い込み成長できるきっかけにしたいという思いがあります。
入会から今までも、ありがたいことに役をやらせていただくことが多く、その経験の中でたくさん学んで、多くの人ともつながることができました。
これからも役割を果たしながら、自分自身の成長につなげていきたいと思っています。
【青年部会だからこそできること】
年齢が若い分、フットワークが軽くなんでもチャレンジできます。失敗してもカバーできるエネルギーやパワー、残っている時間が多いですよね。
そのことも踏まえ、チャレンジしやすい環境が整っていることが一番の魅力です。
私自身、青年部会に入会してから全国色々なところに行く機会がすごく増えました。全国の青年部会、年齢の近い方々と関わることができることも、青年部会だからこそですね。
県外の方と関わることで、富山県内にいないタイプの経営者と会ったり、同世代のやり手の経営者から刺激を受けて頑張ろうと思える機会が増えました。
また、「次会うときはお互いに成長した姿で会おう」といった関係性を全国各地で作ることができるという点が強みですね。
―全国大会や他県の同友会の例会にも何度か参加されてきて、富山との違いや目指す経営者像は見つかりましたか?
当たり前ですが、県によってカラーが全然違うんです。
例えば、大阪同友会の方とお会いすると、どなたも数字にめちゃくちゃ強いんですよね。やはり同業種の人口が多い激戦区で経営されていると、数字にシビアになるのかなと感じました。
逆に富山は理念や覚悟、気持ちに重きを置いて経営されてる方が多いと感じます。そういう違いは外に出て初めて知りましたし、むしろ県内にいるだけでは気付くことはできないと思います。
『知る、気づく』という大きなきっかけになりました。
【自社のこれから】
実は、「経営指針を創る会」を受講して指針書は作成したんですが、まだ従業員の前では指針発表していないんです。
弊社は4月決算なので、5月に指針発表をしようと計画しています。
発表する計画したきっかけは、7月に北海道同友会函館支部青年部会で例会報告者を引き受けたからです。尻を叩かれたじゃないですけど、例会で報告するなら従業員の前で指針発表しないとなと思いました。
私自身、未来やビジョンを考えるのがとても苦手で、すごく苦戦しています。
挑戦したいこととなると、すごく抽象的にはなりますが、新事業をもっと大きくしていきたいです。
捨てられるはずだった端材を、自分たちの技術で生まれ変わらせ商品にする。テーマは「Re-birth」です。
あと、この庄川町地域に何か企業として貢献していきたいと思っています。
最近インバウンドの影響で外国の方が庄川の遊覧船に乗るためによく来られるんです。でも、滞在はしてくれないんですね。
遊覧船に乗るだけ乗ってすぐ金沢とか他のところに行っちゃうんです。庄川町って温泉地で良いところなのに泊まらないのってすごく勿体ないじゃないですか。
弊社は製造業ということもあり、なかなか地域自体に貢献することは難しいかなと思っていたんですが、このインバウンドの件に何か関わることができるんじゃないかと考え始めました。
例えばですけど、今やっているワークショップを外国の方にも体験してもらうだとか...
まだ構想段階で詳しいことは全然決まっていませんが、少しでもこの庄川町という地域に貢献して、色々な方にもっと良さを知っていただきたいですね。
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《訪問しての感想》
庄川町という地域の歴史について私も初めて知り、驚きました。
昔の名残が今の仕事や地域の伝統となって残っていることは当たり前ではなく、今後も伝え続けていかなければならないということを意識しておられる金谷さんは、地元愛のある方だと感じましたし、金谷さんなら庄川町という地域をもっと盛り上げていかれることを確信しました。
金谷さんの今後の新しい挑戦を事務局も追っていきたいと思います。
金谷さん
お忙しい中貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。
(訪問日:2024年4月18日 文・写真:事務局 岡本)